leale 金沢 新規事業計画書RAMEN × MACHIYA × FRANCHISE
金沢の町家が並ぶ夕暮れの路地
新規事業計画書 / 株式会社leale

町の一杯が、
宿の鍵になる。 石川県金沢市 / 牛骨ラーメン店 × 金澤町家の宿 × FCパッケージ

金沢市の条例は、簡易宿所に玄関帳場の設置と対面での本人確認を義務づけている。本事業はその受付機能を自社で開くラーメン店に置くことで要件を満たし、規制対応そのものを収益事業に転換する。商品の差別化は、通常の流通では入手が難しい国産・和牛の骨にある。

作成日 2026年9月13日 事業 飲食(ラーメン)+簡易宿所+FC本部 想定エリア 金沢市中心部・町家から10分圏 策定 株式会社leale
SCROLL
00 EXECUTIVE SUMMARY

本事業の要旨 ―
規制対応を、収益事業に転換する。

金沢市は全国でも屈指の厳しさで宿泊事業を規制している。民泊新法では年間約60日しか営業できず、旅館業許可を取っても「玄関帳場(フロント)の設置」と「対面での本人確認」が義務づけられる。通常、この要件を満たすには受付拠点を借りるか、代行業者へ高額なフィーを払うしかない。
そこで町中に自社のラーメン店を開き、そこを法律上の「施設外玄関帳場」にする。当社はすでに名古屋・金山でラーメン店「熊猫商店」を自社運営しており、業態のノウハウもITも手元にある。さらに通常の流通では入手が難しい国産・和牛の骨を仕入れられる。牛骨スープという他店が再現できない一杯を出しながら、宿の鍵を渡す。

柱 1
牛骨ラーメン店(金沢・町中)

カウンター11席の小箱を居抜きで開業。単体で黒字を狙う本気の飲食事業であり、同時に宿の玄関帳場と送客先を兼ねる。昼から深夜まで開いているため、チェックイン受付時間が広く取れる。

柱 2
金澤町家の宿(簡易宿所)

ラーメン店から10分圏・用途変更200㎡以下の金澤町家を一棟貸しに。ラーメン店を帳場として登録することで通年365日稼働が成立する。裏側は自社開発のシステムとスマートロックで無人化。

構想
牛骨ラーメンFCパッケージ

宿は1棟ずつしか増えないが、ラーメンは「型」が売れる。和牛骨の供給+自社プロダクト一式+運営マニュアルをFC本部としてパッケージ化する構想がある。ただし本資料の収支には含めていない(第11章)。

365簡易宿所なら通年稼働できる日数
(民泊新法では約60日)
143.3石川県の外国人延べ宿泊者数
2019年同月比 増加率(%・全国トップ)
10施設外玄関帳場に許された
宿からの到達時間(分・おおむね)
5,9183年目の連結売上
(万円・試算/FC除く)

資金計画の要旨

資金使途・調達・返済原資試算
項目内容
資金使途①ラーメン店の開業 1,200万円 ②金澤町家の取得・改修 3,200万円(計 4,400万円)
補助金の見込△400万円(第05章。併用可否が未確認のため保守的に算定)
実質所要資金4,000万円
調達自己資金 1,100万円 / 借入 2,900万円
借入条件(想定)ラーメン店 900万円・7年 / 町家 2,000万円・15年・年2.0%
年間返済額293万円(2年目以降。1年目はラーメン店分のみ69万円)
返済原資(連結営業利益)1年目 71万円 / 2年目 1,025万円 / 3年目 1,679万円
※ FCの収益は含めていない
返済余裕率(3年目)5.7倍(連結営業利益 ÷ 年間返済額)
投資の実行方法2段階。1段目1,200万円の実績を確認してから2段目3,200万円へ進む(判断基準は第23章)
1年目の返済原資は薄い。そこを月次で示している
連結営業利益に対する返済余裕率は、3年目で5.7倍まで上がるが1年目は約1.0倍である。開業から立ち上がるまでの資金繰りが、最も苦しい区間になる。第12.4章に開業後12ヶ月の月次資金繰りを掲載した。手元現金の底は3ヶ月目の137万円、単月黒字化は4ヶ月目と見込んでいる。
玄関帳場は、営業日と営業時間を自社で決められる店にしか置けない
代表の家業は「焼肉むつごろう」(金沢市諸江町下丁)。北陸鉄道浅野川線 三口駅から徒歩5分の、ご夫婦で長年営まれてきたホルモン焼肉店である。和牛骨の仕入れルートはこの店から来ている(第08章)。ただし帳場として使うことはできない。理由は2つある。
  • 立地/諸江町は、ひがし茶屋街や香林坊など金澤町家が集積する中心市街地から外れる。10分圏に条件を満たす町家が存在しない。
  • 営業形態/夜のみの営業で、月曜・火曜が定休。玄関帳場は「宿泊客が到着する日と時間に、必ず開いている」ことが絶対条件になる。週2日閉まり昼も開かない店では、その日のチェックインを受けられない。
この2点は、既存の店を帳場に転用しようとすると必ずぶつかる制約でもある。したがって帳場は、立地と営業時間を自社で設計できる新しい店に置く。
この資料の読み方
条例・法令・補助金・観光統計・SaaS料金は一次情報として調査済みの事実を記載し、章末に出典を付けた。投資額・客数・単価・損益・工程は当社が前提を置いて算出した試算である。市や仕入先への照会が必要な論点は要確認として明示した。試算値を確定値のように扱わないこと。支援先の店名は先方の許諾前のため匿名で記載している。
01 WHY KANAZAWA / THREE PILLARS

本事業は不動産投資ではない。
既存の経営資源を組み合わせる事業である。

本事業は、遊休不動産の利回りを取る不動産投資ではない。当社が既に保有する経営資源 ― 飲食業態の運営・出店実績、和牛骨の仕入ルート、自社開発SaaS、金沢の地縁 ― を組み合わせて収益化する事業である。新たに取得するのは物件2件のみで、運営ノウハウ・仕入・システムはいずれも既存資産を転用する。

1.1 当社の事業基盤

当社は業務システムの自動化を出発点に創業し、現在は店舗型ビジネス(飲食・美容等)のITコンサルティングを主力としている。あわせて自社で飲食店を直営し、提案する仕組みを自店で検証してから顧客へ提供する方針をとっている。

直営店は名古屋市中区金山の「熊猫商店」(ラーメン・定食・餃子)。2025年12月には同じく金山駅前に40席のラーメン店を出店し、物件取得・内装・許認可・採用・数値管理までを自社で一巡している。本計画の費用構造は、この出店の収支計画表と開業後6ヶ月の実績値を土台に組み立てた(第12章)。未経験業態への新規参入ではなく、既存業態の地域展開である。

1.2 金沢を選ぶ3つの合理性

①仕入/本事業の差別化要素である和牛骨の調達ルートが金沢にある(下記および第08章)。他地域では再現できない。
②地縁/代表の出身地であり、物件情報・人材・行政窓口へのアクセスがある。
③市場/石川県の外国人延べ宿泊者数は2019年同月比で全国トップの伸びを示している(第02章)。

夜明けの茶屋街の路地 木格子と石畳。木格子と石畳。この街並みが商品の一部になる
和牛骨の仕入ルートの由来
代表の家業は「焼肉むつごろう」(金沢市諸江町下丁)。ご夫婦が長年営むホルモン焼肉店であり、そこで築かれた精肉業者との取引関係が、通常は流通に出回らない国産・和牛の骨の調達につながっている。商品の差はこの仕入で決まる。資金を積んでも代わりが利きにくい部分である(第08章)。将来的には家業の事業承継により、この取引関係を資本ごと自社内に取り込む(第09章)。

1.3 保有している経営資源

新たに取得するのは物件2件のみである。以下はいずれも既に保有し、稼働している資源であり、本事業の実現可能性の根拠になる。

既存
ITコンサル(本業)

店舗型ビジネスのDX伴走。今回の自動化実装とFCの仕組みが、そのまま商材になる。

既存
熊猫商店(名古屋・金山)

自社直営のラーメン店。あっさり醤油・こってり背脂・味噌・辛味噌+自家製黒豚餃子。ラーメン業態の運営を自社で回している実績と、ITの実証場。

既存
和牛骨の仕入れルート

家業の焼肉店を通じて培った精肉ルート。通常では仕入れが難しい国産・和牛の骨を確保できる(第08章)。

既存
支援先の牛骨ラーメン店

当社の飲食コンサル先に人気の牛骨ラーメン店が存在する。レシピ監修とFCの共同展開の相手になり得る(第11章)。

3本の柱 ― 1つの店が、3方向に効く 牛骨ラーメン店 金沢・町中/11席 単体で黒字を狙う 金澤町家の宿(簡易宿所) 玄関帳場を担うことで通年365日稼働が成立 牛骨ラーメンFCパッケージ(構想) 型・骨・ITを卸す。本資料の収支には含めない 店舗DXパッケージ(本業) 条例クリア設計と自社システムをコンサル商材に 和牛骨の仕入れルート 家業の焼肉店由来/模倣困難 熊猫商店(名古屋) ラーメン運営とITの実証済みノウハウ ※ 家業の焼肉店は「和牛骨の仕入ルートの源泉」および「将来のM&A承継先」として計画に位置づける(第09章)
要点は、柱1(ラーメン店)が他の2本を成立させていること。宿は帳場がなければ通年稼働できず、FCは自社1号店の実績がなければ売れない。だから開業順序はラーメン店が先になる(第13章)。
02 MARKET

追い風は、感覚ではなく
数字で吹いている。

北陸新幹線の開通以降、金沢は歴史的景観と現代アートが融合する都市として世界的な認知を得た。令和6年能登半島地震という未曾有の災害を経てもなお、観光需要は驚異的な回復力と成長力を示している。

外国人延べ宿泊者数 / 2019年同月比の伸び率(2024年9月・宿泊旅行統計調査 第2次速報) 0%40%80% 120%160% 石川県 +143.3% 全国トップの伸び率。能登半島地震を経てなお、である 全国平均 +49.8% 実数は 1,238万人泊
石川県の伸び率は全国平均の約2.9倍。訪日需求の受け皿として、金沢は構造的に選ばれている。

2.1 富裕層・欧米豪からの構造的な注目(宿の側)

米国の有力旅行メディア「ナショナルジオグラフィック」の「2025年に行くべき世界の旅行先25選」、および富裕層向け旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」の評価に金沢市が選出されている。これは一過性のブームではなく、金沢の古い町並みと伝統文化(禅宗文化、歴史的建造物)に対する高付加価値層の渇望が定着したことを示す。

2.2 国内需要も政策で下支えされている

補助
北陸応援割

能登半島地震の被災地支援を目的とし、旅行代金の最大50%を補助。宿泊単体で1泊最大2万円、2県以上の周遊型旅行では最大3万5千円。期間延長・再開が繰り返され、旅行客の強い動機付けとして機能してきた。

送客
大手代理店の独自キャンペーン

近畿日本ツーリスト等が「今行ける能登応援ツアー」として、金沢市での宿泊を伴う旅行に1人最大7,000円割引などを展開。金沢市は能登復興支援のハブ(宿泊拠点)として、ビジネス・レジャー両面の需求を吸収している。

2.3 なぜ「ラーメン」なのか ― 3つの理由

宿と組み合わせる飲食業態としてラーメンを選ぶ理由は3つある。

理由1
訪日客の外食動機として最上位

ラーメンは言語の壁がほぼなく、ひとりでも入れて、待たせず出せる。チェックイン直後の食事としては、コース料理よりはるかに入りやすい。

理由2
小箱・高回転で投資が軽い

カウンター11席・居抜きなら投資は約1,200万円。町家(3,200万円)と同時に抱えても資金計画が組める規模に収まる。失敗した場合の損失も限定できる。

理由3
営業時間を自社で決められる

玄関帳場は「宿泊客が到着する時間に開いている」ことが絶対条件。ラーメン業態なら昼から深夜までの通し営業が自然で、熊猫商店で実績もある。

ここから導かれる設計方針
宿は「歴史的コンテクスト(町家)の体験」×「地域ガストロノミー(食)」の高単価な体験型コンテンツとして設計し、狙うのは価格競争に巻き込まれるマス層ではなく金沢の文化に価値を見出し適正な対価を払う富裕層・インバウンド層。
ラーメン店は地元客が毎日通える価格帯を保ちつつ、和牛骨という一点で差をつける。宿は単価で、ラーメンは回転で稼ぐ ― 役割を混ぜないことが両立の条件になる。
SOURCES
03 REGULATION

金沢の民泊規制は、全国でも特に厳しい。

本計画の前提を決める章である。インバウンド急増による騒音・ゴミ出し等の生活環境悪化を懸念した金沢市は、住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行に合わせて独自条例を制定し、強力な営業制限を課した。規制の中身を正確に把握しないと、事業の組み立てができない。

3.1 民泊新法は、事実上無力化されている

住宅宿泊事業法は原則として年間180日を上限に宿泊営業を認める制度である。しかし金沢市住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例 第18条の適用により、特定の用途地域では営業可能期間が極端に制限される。

民泊新法に基づく「届出」で営業する場合の、金沢市独自の制限
対象となる用途地域金沢市独自の条例による営業制限
第一種・第二種低層住居専用地域平日の営業を全面禁止
第一種・第二種中高層住居専用地域平日の営業を全面禁止
第一種住居地域(延床3,000㎡超)制限対象
工業地域制限対象

上記の住居専用地域では、実質的に「土曜日の正午から月曜日の正午まで」および「国民の祝日の正午から翌日の正午まで」しか営業できない。平日を跨ぐ営業が一切禁止されるため、稼働日数は年間で約60日程度に激減する。

年間で営業できる日数 ― この差が事業の生死を決める 民泊新法(届出) 約60日 土曜正午〜月曜正午+祝日のみ。投資回収は事実上不可能 簡易宿所(旅館業法の許可) 365日 通年稼働。ただし玄関帳場の設置と対面での本人確認が義務づけられる
結論:金沢で収益性のある宿を作るには、民泊新法の「届出」ではなく旅館業法の「簡易宿所」の営業許可を取ることが前提条件になる。

3.2 簡易宿所には「玄関帳場」の設置義務がある

簡易宿所の許可を取る方針を固めても、次の壁が待つ。金沢市は2020年7月に金沢市旅館業の適正な運営の確保に関する条例を改正し、全国でも類を見ないほど厳しい要件を追加した。要点は「玄関帳場(フロント)」の設置と「対面での本人確認」の義務化である。

禁
完全無人チェックインは不可

スマートロックとタブレット端末だけの完全無人運営では許可されない。施設内に玄関帳場を設けるか、施設外玄関帳場を設ける必要がある。

10分
施設外玄関帳場の距離要件

「当該管理者不在簡易宿所におおむね10分以内に到着することができる場所に設けること」と定められている。

面接
面接による本人確認

「面接の方法により、全ての宿泊者の本人確認及び人数確認をしなければならない」。ただし「面接と同等の方法として市長が認める方法」による代替の余地が条文上ある。

要確認 照会すべき論点 ― 事業の成否を左右する
  • Q-01/飲食店(自社のラーメン店)を施設外玄関帳場として登録できるか。営業許可上の用途、帳場スペースの要件、宿泊者名簿の保管方法。
  • Q-02/「面接と同等の方法として市長が認める方法」に遠隔面接(テレビ電話)が含まれるか。含まれるなら閉店後着のゲストにも対応できる。
いずれも金沢市保健所 衛生指導課への事前照会が必要。ラーメン店の物件を契約する前に確認する。

なお、この規制が多くの新規参入業者にとって高いハードルとなり、初期投資とランニングコスト(人件費)を押し上げている。この負担を抑えられるかどうかが、金沢での採算を分ける。それが第07章の考え方につながる。

3.3 宿泊税 ― 価格設定とシステム要件に直結する

金沢市は宿泊税を導入しており、2024年10月に制度が改正された。1人1泊5,000円未満の免税点が新設され、低価格帯施設の税負担と申告の手間は軽減された。

金沢市 宿泊税(2024年10月改定後)
宿泊料金(1人1泊・税抜)宿泊税額該当施設のイメージ
5,000円未満免税(0円)ドミトリー、カプセル、安価な素泊まり
5,000円以上 20,000円未満200円ビジネスホテル、中価格帯の町家宿
20,000円以上500円高級旅館、一棟貸し富裕層向け町家
当社が該当するのは最上段(500円)である
第02章の方針どおり高付加価値層を狙うため、1人1泊20,000円以上の価格帯になる可能性が高い。したがって宿泊税500円の特別徴収義務者としての厳密な管理が必要になり、OTA経由の決済と現地決済における税の取り扱いを自社システムで自動処理する仕組みを開業初期から組み込む必要がある(第10章)。
04 PROPERTY & LOCATION

探す物件は2つ。
ただし同じ円の中にしか存在しない。

本計画の物件戦略には、既存店を帳場に使う方式にはない自由度がある。10分の円の中心を、自社で選べることだ。帳場を新規に開くため、町家が残るエリアに合わせて中心を置ける。ラーメン店と町家、二つの立地条件が重なるエリアを先に決めることが、この章の仕事である。

立地条件の重なり ― ここだけが探索対象になる ラーメン店が成立する 集客立地 町中・通行量・ 昼夜とも人が動く 金澤町家が現存する エリア 昭和25年以前の 伝統的建造物が残る 探索対象 両方を満たし 互いに10分以内 おおむね10分以内(条例) ※ 円の中心(ラーメン店)を先に確定し、そこから10分の実測圏内で町家を探す。逆順にはしない
手順は①ラーメン店の立地を確定 → ②そこから10分の実測圏を描く → ③その中の金澤町家だけを見る。町家を先に見つけてしまうと、集客立地でない場所にラーメン店を出す羽目になり、柱1が単体で赤字化する。

4.1 ラーメン店側の条件

ラーメン店 物件スクリーニング条件(★は絶対条件)前提は試算
項目条件理由
★立地金沢市中心部で昼夜とも通行量のある町中柱1を単体で黒字にする。宿の送客だけでは席が埋まらない
★席数・面積カウンター10〜12席/10〜15坪投資1,200万円の範囲に収め、少人数で回す
★受付スペース入口付近に帳場として使える一角を確保できる施設外玄関帳場の要件(Q-01の回答次第で具体化)
物件種別飲食店の居抜き(造作譲渡)を優先厨房・排気・グリストラップの新設費を回避
設備ガス容量・排気・給排水が寸胴の連続稼働に耐える牛骨を長時間炊くため熱源と換気が要件になる
家賃月25万円以内(売上比10%以下を目標)家賃比率が利益率を決める最大要因
営業時間昼〜深夜の通し営業が可能(近隣・契約上の制約なし)チェックイン受付時間を広く取るため

4.2 町家側の条件と、建築基準法の分水嶺

改修された町家の内観と坪庭 坪庭を望む座敷。この一枚が撮れる物件かどうかが、ADRを決める

金沢の歴史的価値を活用しインバウンド層を惹きつけるには、物件を金澤町家(昭和25年以前に建築された伝統的建造物)に絞るべきである。ただし古い町家を簡易宿所へコンバージョンする道には建築基準法という壁が立ちはだかる。

住宅から簡易宿所への転用は用途変更にあたる。決定的に重要な基準は、2019年6月の法改正で緩和された「用途変更する部分の床面積が200㎡以下か、それを超えるか」という閾値である。用途変更の対象床面積(客室だけでなく廊下・階段等の共用部を含む)が200㎡以下の町家を厳選することが、初期投資と工期を大きく左右する。物件選定の必須条件としている。

用途変更(住宅 → 簡易宿所)の分岐 用途変更部分の 床面積は? 200㎡ を超える → 用途変更の建築確認申請が義務。現行法規(耐火設備・採光・排煙・避難経路)への   適合が必要となり大規模改修へ。検査済証が無い町家では適法性の調査だけで   数百万円が飛ぶケースも珍しくない。当社は原則、見送る。 200㎡ 以下 → 用途変更の建築確認申請は免除(不要)。時間とコストを大幅に圧縮できる。   ただし建築基準法に適合しなくてよいわけではない。旅館業許可の申請時に   建築士による「建築基準関係規定に適合している旨の証明書」が実務上必須。
物件選定の段階で、金沢の古い建物の法規に精通した地元建築士に同行を依頼し、「200㎡以下か」「致命的な法令違反がないか」「証明書を発行できるか」を契約前に事前ジャッジする体制が不可欠。
町家 物件スクリーニング条件(★は絶対条件)
項目条件理由
★立地ラーメン店から徒歩または車で10分以内施設外玄関帳場の距離要件(条例)
★用途変更対象床面積200㎡以下建築確認申請の免除ライン(建築基準法)
★建築士の適合証明発行可能と事前ジャッジされていること旅館業許可の実務要件
建築年昭和25年以前(金澤町家に該当)ブランド価値+町家再生活用事業の補助対象
用途地域簡易宿所が可能な地域(住居専用地域は要精査)旅館業の立地制限
想定定員4〜6名(一棟貸し)家族・グループ単価を取り、清掃回転を抑える
接道・消防消防設備(誘導灯・自火報等)の設置が現実的旅館業許可に消防法令適合通知が必要
順番を間違えないこと
「良い町家が出たから買う」ではなく、「ラーメン店の立地を決める → 10分圏 & 200㎡以下 & 適合証明が出る町家しか買わない」。金澤町家情報館などを通じて物件情報の掘り起こしを依頼し、母数を増やすことで条件を下げずに探し切る(第15章)。
05 SUBSIDY

金沢市は、町家を直す人に
手厚くお金を出す。

金沢市は年々失われつつある町家の保全と活用に対して、手厚い補助金制度を設けている。これらを緻密に組み合わせることで、改修時のキャッシュアウトを最小限に抑えられる。しかも町家の伝統的な外観を復元する工事は、宿泊事業のブランディングと完全に一致する。補助金を使う工事が、そのまま商品力につながる。

活用候補の補助金・助成金一次情報
制度名補助対象となる事業内容・条件補助率・上限額
金澤町家再生活用事業 旅館業法で規定された宿泊施設への改修(特定金澤町家等の条件あり)。外部修復工事、内部・内装改修、設備機器整備。伝統的素材(木・土・漆喰等)の使用。 経費の1/2以内
最大 300万円
※屋根50万・内部等200万
等の内訳制限あり
同上(耐震・防災関連) 耐震性能診断、防災構造補強設計、防災構造整備(基礎・土台等の補強工事)。 耐震診断 3/4以内・最大30万円
防災補強 1/2以内・最大250万円
金沢まちなか空き家
リフォーム費補助金
まちなか区域内の空き家を居住または事業用として改修する場合。 最大 120万円
既存建築物耐震改修
工事費等補助制度
令和6年能登半島地震を受けて補助要件が緩和された木造住宅の耐震改修工事。 限度額 280万円
(補助率 10/10)
要確認 Q-03 ― 併用可否と申請タイミング
表の上限額を単純合計すれば大きな額になるが、制度間の併用可否・重複計上の制限・着工前申請の要否は必ず個別に確認が必要。第12章の試算では保守的に400万円のみを織り込んでいる。相談先は金沢市広坂の市役所内・歴史都市推進課、および安江町のNPO法人金澤町家研究会が運営する金澤町家情報館。
補助金は原則「着工後に気づいても遅い」。物件取得前の段階から相談に入る。
要確認 Q-05 ― ラーメン店側で使える支援制度
本計画ではラーメン店の開業費に補助金を一切織り込んでいない(保守側に倒すため)。ただし小規模事業者向けの販路開拓・設備投資支援や、石川県・金沢市の創業支援制度が使える可能性がある。制度名・要件・公募時期は当社で未確認のため、公庫相談と同じタイミングで商工会議所へ照会する。ここで使えれば、そのぶん自己資金を町家側に回せる。

補助金を「情報の入口」としても使う

金澤町家情報館・歴史都市推進課への相談は、単に補助金の手続きのためだけではない。彼らは町家の流通コンサルティングと保全活動の中心にいる。「金澤町家の文化的価値をDXで持続可能にするプレイヤー」として関係を作れば、未公開の優良物件情報にアクセスするパイプになる(第15章で詳述)。

06 COMPETITION

宿にもラーメンにも、まだ
空白地帯が残っている。

2つの事業それぞれで、既存プレイヤーの型と、そこから漏れている領域を確認する。結論を先に書くと、宿では「システム化と人間味の両立」が空いており、ラーメンでは「原料そのもので差をつける」という戦い方が空いている。

6.1 宿泊事業 ― 金沢の町家宿は大きく2種類

類型1
地元大手不動産主導の投資型(ファンド)モデル

クラスコ等の地元有力不動産会社が手がける形態。築古の木造アパートや町家を買い上げ、フルリノベーションののち簡易宿所として認可を取得し、投資家向けの収益物件(利回り7〜8%程度)として販売・運用代行する。

  • 強み:資金力によるドミナント戦略。自社での建築施工と不動産仲介の一気通貫。
  • 弱み:投資家への利回り還元が至上命題となるため、オペレーションは極度に効率化され、ゲストとの人間的な繋がりが希薄になりやすい。
類型2
ラグジュアリー一棟貸し町家モデル

個人資産家や小規模リゾート運営会社が手がける、1日1組限定のプレミアムな町家宿。

  • 強み:1泊数万円〜十数万円の高単価による高利益率。周辺の高級飲食店とのコラボや、ケータリングによる「街飲みプラン」等の地域密着型コンテンツ。
  • 弱み:アナログな予約管理とコンシェルジュ人件費が重い。条例対応のためだけに不本意なコストをかけて受付を設けているケースが多い。
オペレーションのシステム化・自動化 → 人間的な接点・地域との濃さ → ラグジュアリー 一棟貸し 投資型 ファンド系 ここが空白地帯だった leale 宿 × 自社ラーメン店 × IT 裏側は全自動、接点は町中の一杯
当社は「極限のシステム化(ハック)」と「人が湯気の前で迎える温かさ(調和)」という、本来相反する2要素を同時に持つ。裏側のオペレーションは最新のITで自動化しつつ、顧客との接点は町中の自社ラーメン店で提供する ― これが差別化要因になる。

6.2 ラーメン事業 ― 真似できないのは「仕入れ」だけ

ラーメン業態の競争軸は、立地・価格・スープの3つに集約される。立地と価格は資金があれば誰でも並べられる。スープもレシピを研究されれば近い味に追いつかれる。差が残るのは、他店が仕入れられない原料を使っている部分だけである。

スープの主流と、当社が置く位置
スープ供給の状況模倣のしやすさ
豚骨・鶏白湯・魚介・醤油原料はどこでも仕入れられる容易(レシピ勝負になる)
牛骨(輸入骨・交雑種)専門店は少ないが原料は入手可能やや難(技術で差がつく)
牛骨(国産・和牛)通常の流通では一般の飲食店に出回りにくい極めて困難(仕入れ自体が壁)
競争のレイヤーを1段下げる
多くのラーメン店は「レシピ」と「立地」で戦っている。当社はその1段下、原料の調達レイヤーで勝つ。レシピは公開されても、和牛の骨が仕入れられなければ同じ一杯は作れない。この構造をそのままFCパッケージの根拠に使う(第08章・第11章)。

受付カウンターを、コストではなく店にする。
そこで一杯を出せば、規制対応がそのまま売上になる。

ここから3章で、自社のラーメン店を「施設外玄関帳場」として組み込む設計と、和牛骨の仕入で守りを固める考え方を説明する。

07 CORE STRATEGY

受付機能を、
収益事業の中に置く。

本章がこの計画の組み立ての中心になる。金沢の町中に開く自社のラーメン店を、宿泊事業の付加価値としてではなく、条例の要件を満たす機能として事業の中に組み込む。

7.1 通常なら、これは高額なコストである

第03章のとおり、金沢で簡易宿所を運営するには「おおむね10分以内に到着できる場所」への施設外玄関帳場の設置と、対面での本人確認が必要になる。通常、この要件を満たすにはチェックイン専用の拠点を賃貸するか、専門の代行業者に高額なフィーを払うしかない。多くの参入者がここで採算を崩す。

当社は、この受付機能をそれ自体で黒字になる事業に置き換える。受付のために家賃を払うのではなく、ラーメンで家賃をまかなう店の一角を帳場として使う。

7.2 スキームの3点セット

①立地の絶対条件:ラーメン店は集客立地に置き、そこから10分の実測圏内でのみ町家を探す(第04章)。円の中心を自社で決められることが、この方式の強みである。

②オペレーション設計:宿泊客には事前の案内メッセージで「チェックイン手続きは、私たちが営む町中のラーメン店で行います」と多言語で告知する。客が店に到着すると、スタッフがカウンター端のタブレットを提示し、パスポートスキャンや電子署名を行う。本人確認が完了すると、スマートロックの暗証番号(PIN)が自動発行され、町家の解錠方法と道順が案内される。

③戦略的意義:受付拠点の家賃・人件費を宿泊事業から切り離しつつ、条例を完全にクリアできる。あわせて、到着した客の目の前にそのまま食事がある状態になる。

開店前のラーメン店。カウンター端にチェックイン用のタブレットが置かれている この受付カウンターが、法律上の「玄関帳場」になる
自社店舗だから解ける3つの問題
  • 営業時間:昼〜深夜の通し営業を自社で設計できる。既存店を借りる方式で必ず起きる「定休日・営業時間外にチェックインできない」問題が起きない
  • 人の負荷:家族の好意ではなく自社従業員の業務。教育とマニュアルで品質を担保できる
  • 承継リスク:家業の承継時期と帳場機能が切り離される

7.3 チェックイン導線の設計

予約 → 入室 → 食事 / 人が介在するのは 1 か所だけ STEP 1 OTAで予約 Airbnb /Booking.com 等 自動 STEP 2 多言語で案内 自社システムが多言語で自動送信 自動 STEP 3 ラーメン店で対面確認 パスポート照合+人数確認+署名 ← 条例が要求する   唯一の有人工程 STEP 4 PIN自動発行 滞在期間に合わせて有効化 自動 STEP 5 町家へ入室 鍵の受け渡しなし・紛失なし 自動 その一杯を食べていく = ラーメン店の売上(第09章)
有人工程は STEP 3 の1か所のみ。この工程で条例の要件を満たし、そのまま食事につなげる。他の全工程は、自社開発のシステムとスマートロックの連携で無人化する(第10章)。
要確認 Q-04 ― 帳場と厨房の動線を分けられるか
飲食店の営業許可上、客席・厨房と帳場スペースの区分について指摘が入る可能性がある。入口付近に帳場として使える一角を確保できる物件を選ぶこと(第04章の★条件)。あわせて宿泊者名簿の保管場所・鍵付き什器の要否を Q-01 と同時に照会する。
また、閉店後に到着するゲストへの運用(時間指定チェックイン/遠隔面接=Q-02 の可否)を予約を開ける前に確定させる。
08 MOAT

レシピは真似される。
仕入れは真似できない。

当社は、家業の焼肉店を通じて培った精肉のルートから、通常の流通では一般の飲食店に出回りにくい国産・和牛の骨を仕入れられる。時間をかけても他社が追いつきにくいのは、この部分だけである。立地は資金があれば買え、レシピも研究されれば近づかれる。しかし原料が手に入らなければ、同じ一杯は作れない。

寸胴で牛骨を炊く厨房 和牛の骨を長時間炊き、乳化させて白湯に仕上げる。商品の要になる工程

8.1 なぜこれが障壁になるのか

牛骨スープを扱う店は全国的にも多くない。そのうえで「国産」「和牛」の骨となると、精肉業者との継続的な取引関係がなければ安定した数量を確保しづらい。ラーメン店が新規に「和牛骨で炊きます」と決めても、まず仕入先が見つからないところで止まる。

当社にとってこれは、探して見つけたものではない。焼肉店という家業が先にあったから、結果として持っているルートである。同じ調達をしようとすれば、精肉の取引そのものから始めることになる。

焼肉むつごろうで供されている和牛 焼肉むつごろうで実際に供されている肉。この仕入れの延長線上に、和牛の骨がある
競合が越えなければならない3つの層 層1 / 立地と内装 資金があれば買える。参入障壁にならない。 数ヶ月で追いつく 層2 / レシピと調理技術 研究され、分析され、近い味は作られる。時間を稼げるだけ。 1〜2年で追いつく 層3 / 国産・和牛の骨を安定的に仕入れられること 精肉業者との取引関係そのもの。家業の焼肉店に由来し、金で買えない。 → ここを FC の供給機能に据えると、加盟店の離脱も同時に防げる(第11章) 追いつけない
競争の軸を1段下げる。当社が守るのは味ではなく、供給のほうである。

8.2 この仕入れが3方向に効く

効果1
商品の独自性

「国産・和牛の骨で炊いた牛骨白湯らーめん」は、金沢の他店が同じ言葉で名乗れない。説明が一行で済む差別化は、インバウンド客にも地元客にも等しく効く。

効果2
原価の予見性

相場に振り回される一般流通ではなく、既存の取引関係の上で仕入れられる。第12章で原価率35%と置いた根拠にあたる。金山店の実績(35.3〜39.2%)の下限に合わせた数字である。

効果3
FCの品質統制

加盟店に骨またはスープ原液を卸すことで、継続収益とブランド統制を同時に握れる。味が崩れず、離脱もしにくい。FCで難しいのは品質を揃えることだが、原液を供給する形にすれば自然に揃う。

要確認 Q-06 ― この仕入れの「上限」を先に測る
本計画のスケールは、和牛骨をどれだけ確保できるかで決まる。FCの出店数も、この供給量が上限になる。着手から30日以内に確認する(第16章 アクション2)。
  • 月間・年間で確保できる数量の上限(1号店の必要量に対して何倍か)
  • 価格の変動幅と、年間契約・数量契約が可能かどうか
  • 部位(ゲンコツ/背骨等)・冷凍/チルドの別・リードタイム
  • FC加盟店へ転売・卸売する形態が取引条件上可能か(ここが不可ならFCの設計を「スープ原液の製造販売」に切り替える)
  • メニュー表示・広告での「和牛」「国産」表記の根拠資料(トレーサビリティ書類の入手可否)
同時に、ここが弱点でもある
仕入れが強みであるということは、仕入れが止まれば商品が消えるということでもある。単一ルート依存のリスクは第14章 R-03 で扱い、対策として①年間契約による数量確保 ②第二ルートの開拓 ③家業の承継によるルートの内部化(第09章)の3段構えを置く。
09 CROSS-SELL & SUCCESSION

チェックインに来た客は、
必ず店の中にいる。

近隣の飲食店と提携して送客する形であれば、来店は「確率」の話にしかならない。本計画は違う。宿泊客は例外なく、100%の確率でラーメン店の中に立っている。チェックインがそこでしか完了しないからだ。あとは注文につなげるだけになる。

和牛の炙りをのせた牛骨白湯らーめん 国産・和牛の骨を長時間炊いて乳化させた白湯スープ。これが商品の中心であり、送客の受け皿になる

9.1 ラーメンだから、摩擦がない

コース料理への送客は「予約・時間・服装・予算」という4つの摩擦を伴う。ラーメンにはそれがない。荷物を持ったまま座れて、10分で出てきて、ひとりでも気まずくない。長旅の直後という状態に、これ以上フィットする業態はない。

さらに深夜まで開いていることが効く。到着直後は荷物を置きに行った客が、夜に戻ってくる。1泊で2回来店する導線を最初から設計できる。

9.2 パッケージ化する

宿泊予約サイト上で「和牛骨白湯らーめん+和牛炙りトッピング付き宿泊プラン」を販売する。宿の単価に食事を積み、ラーメン店には確実な客数が立つ。加えて宿泊者限定の深夜替玉無料のような軽い特典で再来店を作る。

宿泊1組あたりの来店構造(試算前提) チェックインで来店 100% 帳場がここにしかないため、来店は必然(=販促費ゼロの集客) その場で食事する 50% 試算の前提値。ラーメンは摩擦が小さく、待たせず出せる 夜にもう一度来る 25% 深夜営業と宿泊者特典による二次来店。第12章では保守的に売上へ含めていない
ラーメン店の売上のうち宿泊客由来はごく一部(3年目で数%規模)。ラーメン店は地元客で成立させる前提で試算しており、宿泊客の送客はその上乗せとして扱っている。依存関係を逆にしないことが重要。

9.3 焼肉むつごろう ― 承継は「仕入れの内部化」である

実家の焼肉店は玄関帳場からは外れたが、計画から消えたわけではない。和牛骨の仕入ルートの出どころであり、事業上の位置づけはむしろ重い。

夜の焼肉むつごろうの外観 焼肉むつごろう(金沢市諸江町下丁)。ご夫婦が長年守ってきた、地元に根づいた一軒
家業の概要実店舗の情報
項目内容この計画にとっての意味
店名焼肉むつごろう金沢での地域認知。開業時に既存の信用と顧客基盤を活かせる
所在地石川県金沢市諸江町下丁227-5
(北陸鉄道浅野川線 三口駅 徒歩5分)
中心市街地から外れるため玄関帳場には使えない(第00章)
業態ホルモン焼肉店
(卓上は昔ながらのロースター)
精肉との取引関係が和牛骨ルートの出どころ。設備は素朴で、価値は肉にある
営業夜のみ営業(〜22:00)/月曜・火曜 定休チェックイン受付には使えない営業形態(第00章)
客単価1人あたり 3,000〜4,000円宿泊客の夕食送客先としては単価も動線も重い。ラーメンが適する(第09章 9.1)
建物2階を従業員の居住スペースとして活用できるU・Iターン採用で住居を出せる。地方の飲食店採用では効く条件になる(第22章)
評価Google 4.5(44件)/Retty 4.7(10件)地元に支持されている実績。承継時の企業価値の土台になる
特徴(口コミより)ご夫婦で長年営む/上質な肉が自慢/2種類のタレのうち味噌ダレが絶品/おでん・つみれ酢などサイドも充実/冬は蟹面味噌ダレの知見は牛骨ラーメンの味づくりへ転用できる

数年後に予定している焼肉店のM&A(事業承継)は、単に家業を引き継ぐ話ではない。精肉の取引関係を、契約ではなく資本で自社内に取り込むという意味を持つ。第14章 R-03(仕入れ停止リスク)に対する最終的な解がこれである。

いま
仕入れルートを借りている

家業の取引関係を通じて和牛骨を確保する。関係は良好だが、制度としては当社の資産になっていない。

承継後
ルートが自社の資産になる

精肉の取引・目利き・人的関係を含めて内部化する。FCの供給機能を長期契約で約束できるようになる。

さらに
三業態が石川で束なる

焼肉(和牛)/ラーメン(和牛骨)/宿。1頭の牛を無駄なく使い切る構造と、金沢での面の広がりが同時に生まれる。

承継は「事業の引き継ぎ」であると同時に「関係の引き継ぎ」である
ご夫婦が長年かけて築いた精肉業者との関係は、契約書には書かれていない。だから承継は、名義の移転ではなく人間関係の引き継ぎとして設計する必要がある。第14章 R-03(仕入れ停止リスク)の最終的な解がこれであり、そのためには承継の何年も前から、当社が同じ商流の中に立っていることが要る。
承継の準備は「今から」始める
石川県事業承継・引継ぎ支援センターに早期から相談し、「ITと飲食・宿泊を連動させ、家業を発展的に引き継ぐ若手経営者」としての認知を獲得する。ここで得た信用は、県内で後継者不在に悩む老舗飲食店や旅館のM&A案件が優先的に持ち込まれる好循環につながる。能登の旅館再生というロードマップは、ここから現実の案件として入ってくる。
10 AUTOMATION

対面確認以外の全工程は、
人が触らない。

このオペレーションは、外部サービスの寄せ集めでは組めない。金沢市の条例が求める施設外玄関帳場・対面での本人確認・宿泊者名簿の扱いに、そのまま合う既製品が無いためである。予約受付とOTAの在庫同期だけ既製のPMSを使い、その先 ― チェックイン、本人確認、解錠、多言語案内、宿泊税の区分 ― は自社で開発する。当社の本業はITであり、ここは外注せず自前で持つ。

10.1 宿側 ― どこを買い、どこを自社で作るか

買うのは、予約受付とOTA(Airbnb・Booking.com 等)の在庫・料金同期だけである。各OTAのAPI利用審査、ダブルブッキング対策、24時間の同期保守まで自前で抱えるのは開業までの工程に乗らないため、ここは既製のPMSを使う。

その先は自社開発する。チェックイン画面、旅券スキャンと人数確認の記録、宿泊者名簿、スマートロックの解錠PINの発行・更新・失効、多言語の事前案内、宿泊税の階層判定。いずれも金沢市の条例要件に合わせて作り込む必要があり、既製PMSの標準機能では埋まらない。スマートロック本体は市販品を使い、制御は自社で書く。

自社開発にする理由は3つある。①条例要件に合う既製品が無い ②同じ仕組みをFCパッケージと店舗DXパッケージでそのまま外販できる(第11章・10.3) ③当社に開発リソースがあり、現金支出ではなく自社工数で作れる。

10.2 ラーメン店側 ― 自社プロダクトで揃える

注文・会計のセルフオーダーとPOSは、当社が現在開発中の自社オーダーシステムを使う。勤怠打刻×自動評価(Hata-Raku)、AIシフト作成(Shif-Match)、来店アンケート→口コミ誘導(GuestNote)は、熊猫商店の実営業で稼働している自社SaaSをそのまま載せる。金沢の新店は、自社プロダクトを一式で通す最初の店舗になる。

町家の格子戸に取り付けられたスマートロック 古い木の建具に、Wi-Fi型スマートロック。鍵の受け渡しが消える
自動化の実装範囲と、自社開発/外部サービスの区分
業務方式区分人手
予約受付・在庫同期(サイトコントローラ)既製PMS ↔ 各OTA外部サービス不要
料金・最低泊数の変動制御既製PMSのレートルール設定外部サービス月次の見直し
スマートロック本体Wi-Fi型スマートロック(市販品)外部調達(機器)不要
多言語の事前案内・ラーメン店への道順予約データを受けて自動送信自社開発不要
本人確認・人数確認・宿泊者名簿玄関帳場のタブレット画面(対面)自社開発必要(条例)
解錠PINの発行・更新・失効スマートロックのAPIを直接制御自社開発不要
宿泊税の徴収・区分管理料金階層に応じ自動判定・レポート自社開発月次の申告のみ
清掃タスクの配信・完了確認チェックアウト連動で協力会社へ自動通知自社開発ほぼ不要
ラーメン店の注文・会計セルフオーダー+POS自社開発(開発中)大幅削減
ラーメン店の勤怠・評価・シフトHata-Raku / Shif-Match自社SaaS(稼働中)ほぼ不要
口コミ獲得・再来店促進GuestNote(宿もラーメン店も同じ仕組み)自社SaaS(稼働中)不要

10.3 自社開発だから、そのまま商材になる

自社で作った仕組みは、他社に売れる。既製SaaSの導入代行ではなく、自社プロダクトの提供になるため、粗利率も継続性も変わる。金沢市内で同じ法規制と人手不足に直面している旅館・町家運営者・飲食店に対し、店舗DXパッケージとして提供する。宿泊業単体の収益にとどまらず、本業の新規顧客開拓につながる。

商材1
条例クリア設計の代行

金沢市の玄関帳場要件を満たす運用設計・申請支援。当社自身が通った道をそのまま売る。

商材2
宿泊オペレーションシステム

チェックイン・本人確認・名簿・解錠PIN・宿泊税の区分までを自社開発。条例対応を織り込んだ状態で渡せるのは、自分たちが同じ条例の下で運営しているからである。

商材3
飲食×宿泊の送客導線

近隣飲食店と宿を結ぶプラン設計。自社で効果を検証済みの型として提供する。

当社の一貫した姿勢が、そのまま商材になる
「提案するだけでなく、自ら店を営みSaaSをつくり、実証してから届ける」 ― 本事業は、その進め方を石川県で繰り返すものでもある。売る前に、自分の金で試している。それが説明の要らない信頼になる。
11 FRANCHISE

宿は1棟ずつしか増えない。
ラーメンは「型」が売れる。
― 将来構想。本資料の収支には含めない

町家の宿は物件の出方に完全に依存する。10分圏内で200㎡以下、適合証明が出る物件は、探しても年に何件も出ない。だから成長の主軸を、物件に縛られない事業に置く必要がある。それがFCパッケージである。

11.1 加盟店から見た「加盟する理由」

FCが売れるかどうかは、本部の都合ではなく加盟店にとって自力では手に入らないものを渡せるかで決まる。当社が渡せるのは次の3つで、この組み合わせを持つFC本部は他にない。

渡すもの 1
自力では仕入れられない原料

国産・和牛の骨(またはスープ原液)を供給する。これは加盟店が独立して真似できない部分であり、同時に本部の継続収益とブランドの統一を支える(第08章)。

渡すもの 2
少人数で回すためのIT一式

セルフオーダー・POS・KPI分析・勤怠評価(Hata-Raku)・AIシフト(Shif-Match)・口コミ誘導(GuestNote)。いずれも当社が開発したプロダクトであり、他社のSaaSを再販するのではない。加盟店の人手不足に直接効き、本部側の継続収益にもなる。

渡すもの 3
立ち上げの型

10〜12席の小箱で回す前提のレイアウト、原価・FL比率の管理表、採用と教育の手順、開業前の販促。当社が金沢1号店で自ら通った手順をそのまま渡す。

支援先の人気牛骨ラーメン店と、共同で型を作る
当社の飲食コンサル先にはすでに人気を得ている牛骨ラーメン店が存在する。当社が単独でレシピを作るより、実績のある味の監修を受け、共同でパッケージ化するほうが立ち上がりが早く、説得力も強い。当社が供給とITと仕組みを、先方が味と現場知見を持ち寄る形が理想である。
要確認 先方への打診と、共同開発・共同ブランドの条件(監修料・ロイヤリティ配分・商標)の合意が前提。店名は許諾前のため本資料では匿名としている。

11.2 収益の考え方(構想)

収益は入口(加盟金・開業支援)と継続(ロイヤリティ・スープ原液や骨の供給・自社プロダクトの利用料)の2階建てを想定している。本命は継続のほうで、とくに供給は味の統一と本部収益を同時に担える。

本資料では、FCの売上・利益を収支計画に含めていない
加盟条件も単価も、まだ決めるべき段階にない。1号店の実績が出る前に本部収益を前提に置くのは順序が逆であり、金融機関に対しても説明できない。第12章の収支計画はラーメン店・宿・店舗DXパッケージのみで構成しており、FCの数字は一切入っていない。加盟条件の設計に着手するのは、1号店が12ヶ月回り、第23章のゲート④を通過した時点とする。
要確認 Q-07 ― FC本部としての法務・製造の整備
本部を名乗る前に整えるべき論点。1号店の開業と並行して着手する(第13章 Phase 5)。
  • 情報開示書面/飲食業のフランチャイズは中小小売商業振興法上の特定連鎖化事業に該当し、加盟希望者への書面交付が求められる可能性が高い。要件の確認と書面の整備。
  • フランチャイズ契約書/商標・レシピの秘密保持、テリトリー、契約期間・中途解約、競業避止の範囲。独占禁止法上の留意点(仕入先の指定と拘束の線引き)。
  • スープ原液を製造・販売する場合/食品製造業としての営業許可、表示(原材料・アレルゲン・保存方法)、賞味期限設定の根拠、物流(冷凍・チルド)。自社厨房での製造が可能か、OEMに委託するかの判断。
  • 骨を転売・卸売する場合/取引条件上それが可能か(Q-06 と同時に確認)。不可なら「原液の製造販売」に一本化する。
  • 商標/ブランド名の出願。1号店の看板を出す前に押さえる。
FCの天井は「骨の量」で決まる
加盟希望が集まっても、和牛骨またはスープ原液の供給量を超えて出店させることはできない。無理に増やして輸入骨で薄めれば、差別化はその時点で失われる。Q-06 で測る供給上限が、そのままFCの出店計画の上限になる。成長スピードを、供給の側から決める。
12 FINANCIALS

数字は、自社の実績で補正する。
希望的観測を置かない。

試算 以下は当社が前提を置いて算出した試算値である。ただしラーメン店の費用構造だけは、当社が実際に出店した金山店(名古屋・40席)の収支計画表と、開業後6ヶ月の実績値を土台にしている。机上の比率ではなく、自分たちが払った実額から逆算した数字である。

12.1 試算の前提

2つの事業の前提試算前提
項目前提値置いた理由
■ ラーメン店(金沢・町中)※ 金山店の実績で補正
店舗カウンター11席/10〜15坪/居抜き最小投資で帳場を兼ね、少人数で回す
営業日数開業月 24日 → 以降 28日/年345日週1定休+年始。金山店と同水準
客数/日開業月 58人 → 12ヶ月目 87人 → 3年目 95人11席で回転5.3→8.6回。金山店が計画比9割で着地した実績を踏まえ、立ち上がりを緩やかに置いた
客単価開業月 1,180円 → 1,250円 → 3年目 1,300円金山店は想定1,500円に対し開業月の実績が1,206円。開業月は単価が落ちる前提を明示的に織り込む
食材原価率35%金山店の計画33%に対し実績35.3〜39.2%。実績の下限に合わせて35%を採用した
人件費店長(社保込)40万円/月+パート 売上の18%金山店のPA人件費は計画14%に対し実績19.6〜25.7%。11席カウンターは40席居酒屋より構造的に軽いが、率は保守側に置く
家賃月25万円売上比 7%(3年目)。金山店は77万円/40席・駅前
水道光熱費売上の5.0%金山店は4.0%。寸胴を長時間炊くためガスを重めに見る
決済手数料/消耗品・管理費各 売上の1.5%金山店の収支計画表と同率
製麺機導入しない(麺は製麺所から仕入)金山店は350万円で導入。11席の規模では減価が重すぎる。差別化は和牛骨のスープ側にあり、麺の内製は必須ではない
加盟金・ロイヤリティなし金山店はFC加盟(加盟金198万・月11万)。金沢は自社ブランドのため負担なし。将来は本部側に回る構想がある(第11章)
■ 金澤町家の宿(簡易宿所)
物件金澤町家1棟/延床 約120㎡/定員6名/一棟貸し用途変更200㎡以下の条件を満たす典型サイズ
開業時期2年目の頭(M14)ラーメン店の開業と帳場登録が前提のため後ろになる(第13章)
営業日数365日(簡易宿所)民泊新法の約60日を回避するため(第03章)
ADR(1棟1泊・税抜)2年目 38,000円 → 3年目 45,000円認知とレビュー蓄積に伴う単価上昇
稼働率2年目 55% → 3年目 68%開業期の立ち上がりと閑散期を織り込んだ保守値
玄関帳場運営1泊 1,500円をラーメン店へ内部振替グループ内取引。連結では相殺されるが、宿単体の採算を正しく見るため計上
■ 共通
資金調達自己資金 1,100万円+借入 2,900万円ラーメン店 900万(7年)/町家 2,000万(15年・年2.0%)
宿泊税売上に含めず(宿泊者から預かり市へ納付)1人1泊20,000円以上は500円/人(第03章)
減価償却・法人税試算に含めない(キャッシュベース)意思決定用の粗い骨格として、まず現金の流れを見る

12.2 出店試算の土台 ― 金山店(40席)の実データ

当社は2025年12月に名古屋・金山駅前で40席のラーメン店を出店している。その収支計画表と、開業後6ヶ月の実績が手元にある。金沢の11席はこれを縮小して組み立てる。新規事業の試算で危ういのは、他社の一般論で比率を置いてしまうことである。当社にはその必要がない。

初期投資の対比(万円・税込)金山は実データ
費目金山店
(40席・1F+B1F)
金沢店
(11席・居抜き)
縮小の考え方
物件取得費等(造作譲渡・仲介・保証会社)720240居抜きの造作譲渡を小さく抑える
保証金(償却50%)420150家賃25万円×6ヶ月
加盟金(FC)1980自社ブランドのため不要
店舗デザイン費用10030小箱・居抜きのため設計範囲が小さい
造作(内外装)700280厨房位置を動かさない前提
厨房設備233140寸胴・冷蔵・製氷・食洗機。製麺機(金山350万)は入れない
食器・調理器具8030席数比
レジ・通信機器等7030POS・セルフオーダー・帳場用タブレット
開業前給与・研修3040熊猫商店での実地研修を行うため厚め
開業前家賃―50工事期間2ヶ月分
運転資金(初回仕入・求人・広告)28018012.5 の資金繰りで妥当性を検証
予備費―30―
合計2,8311,200席数比 0.275 に対し投資比 0.42
計画と実績のズレ ― 今回の補正の中心
金山店の開業後6ヶ月の実績は、主要な費目のすべてで計画を上回った。これは失敗ではなく、飲食店の出店では普通に起きることである。問題は「その普通を織り込まずに金沢の試算を作ること」であり、今回それを潰した。
金山店 計画 vs 実績(開業〜6ヶ月)と、金沢への反映実績は一次データ
項目計画実績金沢11席への反映
客単価1,500円開業月 1,206円開業月を1,180円から入る設定に
月商700〜970万637〜759万
(計画比 約9割)
客数の立ち上がりを緩やかに
食材原価率33%35.3〜39.2%35% を採用
PA(パート)人件費率14.0%19.6〜25.7%18%(カウンター業態のため金山より軽い)
総人件費率36〜40%41.6〜47.4%30〜35% を採用(カウンター業態のため金山より軽い)
家賃77.0万69.0〜75.9万25万(11席・地方都市)
広告宣伝費10〜12.7万/月0〜25.5万/月開業3ヶ月 10万、以降 5万
実績で補正するとは、数字を保守的にすることである
一般的な比率(原価率32%・人件費率28%)で置けば、ラーメン店3年目の営業利益は800万円台に乗る。しかし金山店の実績はそれを許さない。原価率35%・人件費率30%台で引き直した結果が、本章の706万円である。数字は保守的になったが、これは当社が実際に払った金額から逆算した数字であり、金融機関に説明できるのはこちらである。

12.3 初期投資と資金調達

初期投資の内訳(単位:万円)試算
項目ラーメン店町家の宿合計
物件(取得費/保証金・礼金・仲介)3901,3001,690
造作・内外装/改修工事3101,3001,610
厨房設備/家具・寝具・什器140250390
食器・調理器具/設計監理・許認可30150180
IT導入(端末・スマートロック機器・既製PMS初期)
※ 自社開発分は自社工数のため計上しない
306090
開業前家賃・給与・運転資金・予備費300140440
投資 合計1,2003,2004,400
補助金(第05章・保守的に見込み)―△400△400
実質投資額1,2002,8004,000
うち自己資金3008001,100
うち借入900
7年
2,000
15年・年2.0%
2,900
返済(元利)月11.5万
年138万
月12.9万
年155万
年293万
投資を2段階に分けたことが、この計画の歯止めになっている
ラーメン店(1,200万円)を先に開け、半年〜1年回して実際の客数・原価率・オペレーションを確かめてから町家(3,200万円)に踏み込む。町家1棟へ一括投資する形ではないため、1段目で判断を誤ったと分かった時点で撤退できる。金山店で実証したとおり、開業直後の数字は計画から外れる。外れることを前提に、外れても死なない順序にしてある。

12.4 開業後12ヶ月の資金繰り(出店試算表)

金山店の収支計画表と同じ形式で、金沢11席の開業後12ヶ月を月次に落とす。出店判断で本当に見るべきなのは年間の営業利益ではなく、手元の現金が尽きないかどうかである。

開業後12ヶ月 月次資金繰り(単位:万円・税抜)試算
月営業日客数/日客単価売上仕入
35%
人件費
40万+18%
その他
経費
返済単月差引累計現金
開業月24581,18016457705612△31149
2ヶ月目28641,22021977796112△10139
3ヶ月目28681,25023883836212△2137
4ヶ月目28721,25025288855812+9146
5ヶ月目28761,25026693885912+14160
6ヶ月目28801,25028098906012+20180
7ヶ月目28821,270292102936112+24204
8ヶ月目28831,270295103936212+25229
9ヶ月目28841,270299105946212+26255
10ヶ月目28851,270302106946212+28283
11ヶ月目28861,270306107956312+29312
12ヶ月目28871,270309108966312+30342
12ヶ月 計332――3,2221,1271,060729138+162―
単月差引(上)と手元現金の推移(下)/万円 0 +30 -30 -31 +9 +30 4ヶ月目に単月黒字化 100 400 137 底(3ヶ月目) 342 開業35 791112ヶ月
運転資金180万円でスタートし、手元現金の底は3ヶ月目の137万円。ここを割らなければ資金はもつ。単月黒字化は4ヶ月目、12ヶ月で手元は342万円まで回復する。この「底」を先に知っておくことが、出店試算表を作る目的である。
底が浅い。1段目はここを守り切る
底の137万円は、月商238万円の店にとって約2週間分の運転資金でしかない。金山店の実績どおり売上が計画比9割で着地すると、底は約60万円まで下がる。したがって次の2つを守る。
  • 運転資金180万円は下限として削らない。内装で予算が超過しても、ここから流用しない
  • 開業3ヶ月は広告を止めない(月10万円)。立ち上がりの遅れが、そのまま底の深さになる

12.5 ラーメン店の損益(3年)

ラーメン店 損益試算(単位:万円・税抜)※費目は金山店の収支計画表に準拠試算
項目1年目
(開業〜6ヶ月)
2年目3年目
営業日数164日345日345日
客数/日(平均)70人85人95人
客単価(平均)1,230円1,280円1,300円
売上1,4193,7544,261
食材原価(35%)4971,3141,491
社員給与・社保(店長)240480500
パート人件費(売上の18%)255676767
(人件費 小計/対売上)495/34.9%1,156/30.8%1,267/29.7%
家賃150300300
水道光熱費(5.0%)71188213
広告宣伝費456060
決済手数料(1.5%)215664
消耗品・管理費(1.5%)215664
通信費・雑費/修繕費/清掃衛生費367272
システム利用料(通信・クラウド)122424
費用 合計1,3483,2263,555
営業利益71528706
(参考)営業利益率5.0%14.1%16.6%
(参考)FL比率(原価+人件費)69.9%65.8%64.7%
玄関帳場の受託収入(グループ内振替)―3037

12.6 町家宿の損益

宿泊事業 損益試算(単位:万円・税抜)※1年目は改修中で未開業試算
項目1年目2年目
(開業1年目)
3年目
ADR / 稼働率―38,000円/55%45,000円/68%
稼働泊数―201泊248泊
宿泊売上―7631,117
OTA手数料(15%)―114168
清掃・リネン(@8,000円/泊)―161198
消耗品・アメニティ(@1,500円/泊)―3037
水道光熱・通信―4848
既製PMS・スマートロックのクラウド利用料―1212
玄関帳場運営(ラーメン店へ内部振替 @1,500円/泊)―3037
修繕積立(売上3%)―2334
固定資産税・保険―2525
費用 合計―443559
営業利益―320558

12.7 店舗DXパッケージ

外販として収支に織り込むのは、本業(ITコンサルティング)の延長にある店舗DXパッケージのみである。FCの収益は構想段階のため含めない(第11章)。

外販事業(単位:万円)試算
項目1年目2年目3年目算出根拠
店舗DXパッケージ(本業)―210540初期30万+月額2万/2年目5件・3年目累計15件
粗利(率70%を前提)―147378主たる原価は自社工数
(参考)FC 売上―計上せず計上せず構想段階のため試算に含めない(第11章)

12.8 グループ連結

グループ連結(単位:万円)※玄関帳場の内部振替は相殺済み。FCの収益は含めていない試算
区分1年目2年目3年目
ラーメン店 売上1,4193,7544,261
宿泊 売上―7631,117
店舗DXパッケージ 売上―210540
連結売上1,4194,7275,918
ラーメン店 営業利益(+帳場受託)71558743
宿泊 営業利益―320558
店舗DXパッケージ 粗利―147378
連結営業利益711,0251,679
借入返済(元利)69293293
返済後キャッシュフロー27321,386
4,400初期投資 合計
(万円・補助金前)
5,9183年目の連結売上
(万円・試算/FC除く)
1,6793年目の連結営業利益
(万円・試算/FC除く)
2,1203年累計の返済後CF
(万円・実質投資4,000万円に対して)
この試算が崩れる条件(感度)
  • 店舗DXパッケージが1件も売れない場合:3年目の連結営業利益は約1,301万円(△378万)。返済後CFは約1,008万円で、黒字は維持する。外販が無くても、ラーメン店と宿の2本で返済は回る。
  • ラーメン店の客数が2割下振れる場合(3年目76人/日):売上は約3,409万円(△852万)、営業利益は約374万円まで低下する。下振れの影響が最も大きいのはここである。だからこそ立地は妥協しない(第04章)。
  • 原価率が金山店の実績上限(39%)まで上がる場合:3年目のラーメン店営業利益は約536万円(△170万)。和牛骨という説明力があるぶん、一般店より値上げ耐性は高いと見ている。
  • 宿の稼働率が10ポイント下がる場合(3年目58%):宿の売上は約953万円(△164万)、営業利益は約440万円。連結では吸収できる。
投資回収は4〜5年目を見込む
実質投資4,000万円に対し、3年累計の返済後キャッシュフローは2,120万円(回収率53%)。3年で投資額を取り戻す計画ではない。宿の開業が2年目であること、FCの収益を織り込んでいないことが主な理由である。借入は7年・15年で組んでおり、返済は3年目時点で年間返済額の5.7倍の営業利益で賄える見込み。回収を早める手段としてFC展開と2棟目があるが、いずれも1号店の実績を確認してからの判断とする(第23章)。
13 ROADMAP

ラーメンが先、宿が後。
この順序は動かせない。

試算 月数は当社が置いた想定であり、行政手続きの所要期間・物件の出方によって変動する。ただし順序は変えられない。簡易宿所の許可申請には玄関帳場の登録が必要で、そのためにはラーメン店が実在して営業している必要がある。宿を先に買っても、開けられない。

18ヶ月の工程 ― 2段階投資のクリティカルパス M0M3M6 M9M12M15M18 事前照会・仕入れ確認 ★ここが最初。金を使う前に終わらせる ラーメン店 物件・スープ開発 熊猫商店で試験販売して味とオペを固める ラーメン店 内装・許可・採用 M7 ラーメン店 開業 町家 探索・取得 ラーメン店の立地確定後、10分圏で探す 町家 改修・簡易宿所許可 最長工程 宿システム・OTA登録 M14 宿 開業 FC 型づくり・法務整備 1号加盟へ ※ ラーメン店の開業(M7)が、町家の許可申請(M8以降)の前提条件になっている ― この依存関係が工程を規定する
ラーメン店の開業から町家の宿の開業までが約7ヶ月。この間、ラーメン店は単体で利益を出しながら、実際の客数・原価率・オペレーションを検証する期間になる。2段目の投資判断は、この実績を見てから下す。
PHASE 0 / M0-M2
事前照会と仕入れの確認 ― 物件を1件も契約しない期間

スキームの生死を決める確認を先に終える。ここを飛ばして物件から入ると、契約後に「帳場が認められない」「骨が足りない」で計画が崩れる。

  • 金沢市保健所 衛生指導課へ照会(Q-01 飲食店の帳場登録可否/Q-02 遠隔面接の可否/Q-04 帳場と厨房の区分)
  • 和牛骨の供給上限・価格・年間契約・卸売可否の確認(Q-06) ― これがFCの天井を決める
  • 支援先の人気牛骨ラーメン店へ、共同開発・共同ブランドの打診
  • 金澤町家情報館・歴史都市推進課へ事前相談(補助金の適用条件・物件掘り起こし依頼)
  • 地元建築士の確保(200㎡判定・適合証明の発行可否をジャッジできる人)
  • 日本政策金融公庫等へ事前相談(2段階投資の資金計画・商工会議所で Q-05 の支援制度も確認)
PHASE 1 / M2-M5
ラーメン店の物件取得と、スープの完成

立地は妥協しない。第12章の感度分析どおり、客数の下振れがこの計画で最も痛い。

  • 金沢市中心部で10〜12席の居抜き物件を探索・契約(ガス容量・排気・帳場スペースを確認)
  • 熊猫商店で牛骨ラーメンの試験販売 ― 味・原価・提供時間・オペレーションを実営業で検証する
  • 支援先の監修を受けてレシピを確定。スープの仕込み工程と歩留まりを数値化(FCの元になる)
  • ブランド名の決定と商標出願(看板を出す前に押さえる)
PHASE 2 / M5-M7
ラーメン店の開業
  • 内外装工事、厨房設備の設置、飲食店営業許可、消防関係の届出
  • 店長・スタッフの採用と研修(熊猫商店で実地研修を行う)
  • 自社プロダクトの導入:セルフオーダー+POS(開発中)・KPI分析・Hata-Raku・Shif-Match・GuestNote
  • Google ビジネスプロフィール・Instagram の開設と開業前の発信
  • M7 開業。まずは地元客で席を埋めることに専念する
PHASE 3 / M4-M8
町家の探索と取得(ラーメン店の立地確定後)
  • ラーメン店から徒歩/車10分の実測圏を地図に落とし、探索エリアを固定
  • 候補物件に建築士を同行させ、200㎡判定と致命的な法令違反の有無を事前ジャッジ
  • 売買契約は「旅館業許可の取得」「適合証明の発行」を停止条件として付す
  • 補助金の事前相談・交付申請(着工前)
PHASE 4 / M8-M14
町家の改修と許認可、そして開業
  • 耐震診断 → 防災構造補強設計 → 補強工事(補助金の対象工程)
  • 意匠・水回り・断熱の改修、消防設備(誘導灯・自火報等)の設置
  • 建築士による建築基準関係規定の適合証明書の取得
  • 旅館業(簡易宿所)許可申請、消防法令適合通知、施設外玄関帳場としてラーメン店を登録
  • 宿泊税の特別徴収義務者の届出
  • 自社開発システムの実装(チェックイン・名簿・解錠PIN・多言語案内・宿泊税の区分)、既製PMSの導入とOTA登録、撮影
  • M14 開業。初月はレビュー獲得を最優先に運営する
PHASE 5 / M8-Y2
FC本部の立ち上げ

1号店が回り始めた時点から並行して着手する。加盟希望が来てから慌てて整えることになりがちな部分を、先に固める。

  • 情報開示書面・FC契約書の整備、商標、テリトリー設計(Q-07)
  • スープ原液の製造方式の決定(自社厨房かOEMか)と食品表示・許可の整備
  • 加盟店向けマニュアル(調理・オペレーション・数値管理)とIT導入手順の文書化
  • 支援先との共同ブランド条件の合意 → 1〜2号加盟店の開業支援
  • 店舗DXパッケージの外販開始(第10章)
PHASE 6 / 3〜5年目
供給の上限まで伸ばし、家業を承継し、能登へ
  • FC を累計6件 → 供給上限(Q-06)を見ながら10〜20件規模へ
  • 町家2棟目(帳場はラーメン店を共用できるため、2棟目以降は投資効率が上がる)
  • 実家の焼肉店のM&A(事業承継)を実行 ― 和牛骨の仕入れルートを資本で内部化する(第09章)
  • 石川県事業承継・引継ぎ支援センター経由で、後継者不在の老舗旅館の再生案件へ
  • 能登の旅館再生・まちづくり ― ビジョンの本編へ
Leale Town ― 飲食・宿・SaaS・研修・保守が1つの街としてつながる図 自社サイトで公開している「Leale Town」。飲食・宿・SaaS・研修・保守が1つの街としてつながる構想を、金沢で実際の面にする
14 RISK

この計画が壊れる10の箇所と、
その塞ぎ方。

計画の強度は、都合の良い前提の数ではなく、都合の悪い事象への備えの数で決まる。以下は本計画が現実に壊れうる箇所を、影響度の高い順に並べたものである。

影響度 極大 / R-01 ラーメン店(飲食店)を施設外玄関帳場として登録できない

宿の側のスキームが崩れる。対策:物件契約より前に金沢市保健所へ照会し、回答を議事メモとして残す(Q-01/Q-04)。仮に不可なら、①店舗内に帳場専用の区画を壁で仕切る ②町家の敷地内に無人ではない帳場を設ける設計に切り替える ③遠隔面接(Q-02)が認められるならその方法で代替する ― の3案を用意する。この確認が終わるまで町家に手付を打たない。なおラーメン店単体の事業性はこの結果に影響されないため、計画全体が同時に倒れることはない。

影響度 極大 / R-02 ラーメン店の客数が想定に届かない

第12章の感度分析どおり、客数2割減で3年目の営業利益は706万→約374万まで落ちる。下振れの影響が最も大きいのがここである。対策:①立地条件(昼夜の通行量)を絶対条件として妥協しない ②開業前に熊猫商店で試験販売し、味と提供時間を実営業で検証する ③支援先の人気店の監修を受け、ゼロから作らない ④開業初月からKPI分析で日商・回転・原価を日次監視し、早期に手を打つ。

影響度 大 / R-03 和牛骨の仕入れが止まる/価格が急騰する

強みが消えるだけでなく、商品が成立しなくなる。FCを展開していればより深刻になる。対策:3段構えで守る。①年間契約・数量契約で確保する(Q-06)②第二の仕入ルートを開拓しておく(国産和牛の他ルート、または部位の代替)③家業の焼肉店のM&A承継でルートを資本ごと内部化する(第09章)。あわせて価格上昇は「和牛骨」という説明力を根拠に価格転嫁できる余地を持つ。

影響度 大 / R-04 建築士の適合証明が出ない/検査済証がない

古い町家では珍しくない。買った後に判明すると回収不能な損失になる。対策:契約前に建築士を同行させて事前ジャッジ。売買契約には「旅館業許可の取得」「適合証明の発行」を停止条件として明記し、不成立なら白紙解約できる形にする。

影響度 中 / R-05 ラーメン店から10分圏内に、条件を満たす町家が出てこない

条件を緩めたい誘惑が最も強い箇所。対策:条件は緩めず母数を増やす。金澤町家情報館・NPO法人金澤町家研究会・地元不動産へ掘り起こしを依頼し、未公開情報のパイプを作る(第15章)。200㎡超は原則見送る。宿が遅れてもラーメン店は回っているため、待てるのがこの構成の強みである。

影響度 中 / R-06 二重投資による資金繰りの悪化

ラーメン店1,200万+町家3,200万を短期間に投じる。対策:①投資を2段階に分け、1段目の実績を見てから2段目に進む(第12章)②町家の借入実行を改修着工に合わせて後ろに置く ③補助金の交付時期と工事代金の支払時期のズレを運転資金で埋める(公庫と事前に相談)④1段目が想定を下回った場合は2段目を延期する判断基準を先に決めておく(例:開業6ヶ月時点の日商が想定の85%未満なら延期)。

影響度 中 / R-07 FC本部としての法務・品質統制の不備

情報開示書面や契約の不備は、加盟後の紛争リスクに直結する。味の崩れはブランド全体を傷つける。対策:1号店の開業と並行して法務を整備(Q-07)。品質統制はスープ原液の供給という物理的な手段で担保し、マニュアルと精神論に頼らない(第08章・第11章)。供給量を超える出店はさせない。

影響度 中 / R-08 人手(店長人材・清掃)が確保できない

小箱でも店長が採れなければ開業できない。宿は清掃品質がレビューに直結する。なお名古屋から金沢へ人を移す前提は置かない。愛知から石川への人流を作ることは現実的でなく、採用は金沢で行う。対策:①住居を用意できることを採用の武器にする ― 家業(焼肉むつごろう)の2階を、U・Iターンで金沢に入る人の居住スペースとして確保できる(22.1)。地方の飲食店採用で住居を出せる会社は多くない ②採用は金沢で行い、研修だけを開業前の一時期、名古屋の熊猫商店で行う(移住ではないため現実的) ③Hata-Raku / Shif-Match で少人数でも回る体制を初日から入れる ④清掃は地元清掃会社と年間契約し、自社システム連動でタスクを自動配信して属人性を下げる。

影響度 中 / R-10 自社開発が開業に間に合わない/保守が負担になる

チェックイン・宿泊者名簿・解錠PIN・宿泊税の区分は自社開発する(第10章)。開発が遅れれば宿の開業が止まり、開業後は24時間動くシステムの保守が本業の工数を食う。対策:①開発範囲を絞る。OTA連携は既製PMSに任せ、自社で作るのは条例要件に直結する部分だけにする ②宿の開業(M14)から逆算し、M12時点で通しのテストが終わっている状態をゲートの確認項目に加える ③PIN発行が落ちても運用が止まらないよう、紙のPINと物理鍵の予備運用を最初から用意する(第21章 手順7)④セルフオーダー+POSは開発中のため、開業に間に合う版をW20で確定させる(第17章)。

影響度 小〜中 / R-09 条例・税制の変更、インバウンド需求の変動、災害

金沢市は規制を強化してきた経緯がある(2020年の旅館業条例改正、2024年の宿泊税改定)。対策:担当課との関係を継続的に維持し改正の予兆を早期に掴む。需求面ではラーメン店が地元客中心で成立していることがそのまま分散になる。宿は国内需求(政策需求・能登復興のビジネス客)と長期滞在で補い、修繕積立(売上3%)を災害対応の原資とする。

リスク管理の原則 ― 順序を守ることが効く
R-01・R-03・R-04 はいずれも「お金を使う前に確認できる」リスクである。そして R-02・R-06 は「投資を2段階に分けたこと」で構造的に軽くなっている。リスクを小さくするうえで効くのは、保険や契約の工夫よりも順序である。照会 → 仕入れ確認 → 試験販売 → ラーメン店開業 → 実績確認 → 町家投資。この順番を崩さないこと。
15 NETWORK & STORY

地域ネットワークを、
情報の入口にする。

条件を満たす金澤町家、FCの加盟希望、後継者不在の事業 ― これらは公開市場に出る前に地域の関係者の間で動く。本章は、それらが当社に持ち込まれる関係をどう作るかの計画である。物件探索(第04章)とFC展開(第11章)の成否は、ここに依存する。

01
NPO法人 金澤町家研究会
/ 石川県建築士会

町家の流通コンサルティングと保全活動の中心を担う組織。単なる「物件の買い手」ではなく「金澤町家の文化的価値をDXで持続可能にするプレイヤー」としてアプローチする。

  • 金澤町家情報館での相談を端緒にする
  • 彼らのアナログな課題(流通の停滞・相続)にITの視点で貢献する
  • 結果として未公開の優良物件情報へのパイプが築かれる
02
石川県事業承継・
引継ぎ支援センター

実家焼肉店の承継準備に向け早期から相談する。承継は「和牛骨の仕入れルートの内部化」という戦略的な意味を持つ(第09章)。

  • 「ITと飲食・宿泊を連動させ家業を発展的に継ぐ若手経営者」として認知される
  • 県内で後継者不在に悩む老舗飲食店・旅館の案件が優先的に持ち込まれる
  • 能登の旅館再生への入口がここから開く
03
青年経済団体
(青経塾・同友会等)

代表は愛知県の青年経済団体(青経塾・中小企業家同友会)に所属し、経営者間で実務的に支援し合う関係を築いてきた。同じ枠組みで金沢の商工会議所青年部・地元同友会に加入する。

  • 強みである「伴走型チームによる課題解決」を提示する
  • 地域事業者のDXを支援し、信頼という名の「縁」を編み上げる
  • FCの初期加盟希望者とDXパッケージの初期顧客はここから生まれる
04
支援先の
牛骨ラーメン店

当社の飲食コンサル先。味の監修とFCの共同展開のパートナーになり得る最重要の相手(第11章)。

  • 先方には「自店の味が広がる」「供給とITを受け取れる」という利がある
  • 当社には「実績のある味」と「立ち上げの速さ」という利がある
  • 条件(監修料・ロイヤリティ配分・商標)の合意が前提。店名は許諾前のため本資料では匿名

15.1 発信は、集客・加盟募集・採用の3つを兼ねる

自社SNS(Instagram等)で月4回以上の定常的な発信を行う。開業前の改修過程から公開することで、①開業時点での認知獲得 ②FC加盟希望者への説明資料 ③人材採用の3つを1つの活動で賄う。広告費を月5万円に抑えられる前提(第12章)は、この発信が機能することを織り込んでいる。

当社は名古屋・金山での出店を通じて、開業前の発信が初月の客数に直結することを確認している。金沢では改修着工(第13章 Phase 2)と同時に発信を開始する。

発信1
スープを炊く過程

和牛の骨が湯気になるまで。原料の希少性がそのまま映像の価値になる。

発信2
改修の過程

朽ちた町家が息を吹き返す工程。before/after は最も強いコンテンツである。

発信3
条例との格闘

規制をどう越えたかの記録は、同じ壁に悩む同業者にとって一次情報(=DX商談とFCの入口)。

発信4
利用者の反応

実際の利用者の声。レビュー獲得とFC加盟希望者への説明資料の双方に使える。

16 KPI & NEXT ACTION

測る数字と、
着手から30日でやること。

計画は、監視する指標と最初の一歩が決まっていなければ動かない。以下のKPIは開業後に月次(ラーメン店は日次)で追う。アクションは計画に着手してからの30日を指し、第17章のW1〜W4にあたる。いずれも大きな金を使わずにできることで構成している。

16.1 追跡するKPI

モニタリングする指標目標値は試算
区分KPI3年目の目標なぜ見るか
ラーメン店日商12.4万円すべての前提。日次で見る唯一の数字
客数/日・回転率95人/8.6回席数を増やせない以上、回転が売上の上限を決める
客単価1,300円トッピング・サイド・餃子の付帯率で作る
原価率35%以下金山店の実績(35.3〜39.2%)を超えないことが合格線(R-03)
FL比率(原価+人件費)65%以下飲食店の採算を左右する。金山店の実績は70%前後で推移した
宿ADR45,000円感度分析で稼働より効く変数
OCC(稼働率)68%閑散期対策の効果測定
RevPAR(ADR×OCC)30,600円単価と稼働のバランスを1つの数字で見る
レビュースコア4.8以上高単価を維持できるかどうかに直結する
導線食事転換率50%以上チェックイン客がその場で食事する率(第09章)
帳場所要時間8分以内ピーク時の店内オペレーションを妨げない上限
外販DXパッケージ受注累計15件本業への波及効果(第10章)。FCのKPIは、構想が実行段階に入ってから設定する

16.2 着手から30日でやること(第17章 W1〜W4)

1金沢市保健所 衛生指導課へ事前照会(最重要)飲食店を施設外玄関帳場として登録できるか(Q-01)、遠隔面接が「市長が認める方法」に含まれるか(Q-02)、帳場と厨房・客席の区分要件(Q-04)。回答は議事メモとして必ず文書化する。この結果が出るまで町家に手付を打たない。
2和牛骨の供給上限・価格・契約条件を確認(同じく最重要)月間・年間の確保可能量、価格変動幅、年間契約の可否、部位と形態、FC加盟店への卸売が取引条件上可能か(Q-06)。ここで測った数量が、そのままFCの出店計画の上限になる。
3支援先の人気牛骨ラーメン店へ打診味の監修と、FCの共同展開の可能性を打診する。条件(監修料・ロイヤリティ配分・商標・テリトリー)の骨子まで話す。実名公表の可否もここで確認する(第11章)。
4熊猫商店で牛骨ラーメンの試験販売を仕込む金沢で開ける前に、名古屋の実営業で味・原価・提供時間・オペレーションを検証する。R-02(客数未達)に対する最も安いリスク対策がこれ。期間限定メニューとして出し、KPI分析で数字を取る。
5金沢市中心部でラーメン店の居抜き物件を探索昼夜の通行量、10〜12席、ガス容量・排気、入口付近の帳場スペース、家賃25万円以内。候補が出たらそこから10分圏に金澤町家が存在するかを地図で重ねる(第04章)。
6金澤町家情報館・歴史都市推進課へ相談予約補助金の適用条件・併用可否・着工前申請の要否を確認(Q-03)。同時に「宿泊活用したい事業者」として物件情報の掘り起こしを依頼する。
7地元建築士を1名確保金沢の古い建物の法規に精通し、200㎡判定と建築基準関係規定の適合証明を発行できる人。内見同行を前提に条件(同行費用・判定の所要日数)を決める。
8公庫・商工会議所へ事前相談し、試算を実勢に差し替える2段階投資の資金計画、返済期間、担保条件。ラーメン店側で使える支援制度(Q-05)も確認する。あわせて金沢の近隣ADRと清掃単価、想定商圏の客数実勢を調べ、第12章の前提を実数へ置き換える。
この計画の判断ポイントは2つに集約される
①「ラーメン店を施設外玄関帳場として登録できるか」(Q-01) ― YESなら宿は通年稼働で成立する。NOなら代替3案でコストが上がり、宿の事業性を再計算する。
②「和牛骨をどれだけ確保できるか」(Q-06) ― これが商品の独自性とFCの出店上限を同時に決める。
いずれも物件を1件も契約せずに、電話と面談だけで確かめられる。だから着手から30日の最優先は物件探しではなく、この2本の照会である。

ここから実行編。
「何をやるか」ではなく「誰が・いつ・何を持って動くか」を書く。

第16章までが戦略編 ― 事業をやるかどうかを判断するための資料である。第17章から先は、やると決めたあとに印刷して現場で使うための資料にする。週次のタスク、窓口に持っていく書類、内見で埋めるチェックリスト、1杯ごとの原価、1日のオペレーション、帳場で読み上げる手順、そして撤退の判断基準。ここに書いていないことは、まだ決まっていない。

17 EXECUTION / WBS

開業までの28週を、
週単位で割り付ける。

第13章の18ヶ月工程を、ラーメン店の開業(M7=第28週)までブレークダウンする。担当・成果物・完了条件のない行はタスクとして機能しないため、3列をすべて埋めた。担当は現時点の想定であり、採用が決まれば差し替える。

17.1 フェーズ0:事前照会と検証(W1〜W8)

この8週間で使う金は、試験販売の食材費と交通費だけである。物件の契約はしない。ここで得た回答が、以降すべての前提になる。

W1〜W8 タスク週割りは試算
週タスク担当成果物完了条件
W1金沢市保健所 衛生指導課へ照会(Q-01 飲食店の帳場登録可否/Q-02 遠隔面接/Q-04 帳場と厨房の区分)代表照会議事メモ文書で回答の要旨を残す。口頭のみで先に進まない
W1和牛骨の供給条件を確認(Q-06 数量上限・価格・年間契約・卸売可否・トレーサビリティ)代表供給条件メモ月間確保可能量(kg)が数字で出ていること
W2支援先の牛骨ラーメン店へ共同開発を打診(監修・共同ブランド・実名公表の可否)代表意向確認メモ可否と条件の骨子が出ている
W2-3試験販売の設計(レシピ案・原価表・提供時間の目標値)代表+熊猫商店 店長レシピ案・原価表v1第20章の原価表が埋まっている
W3-4日本政策金融公庫へ事前相談/商工会議所で支援制度を確認(Q-05)代表資金計画案借入可能額と条件の感触が得られている
W4-6熊猫商店で牛骨ラーメンの試験販売(期間限定メニュー)熊猫商店 店長実測データ1日あたり提供数・実原価率・提供までの秒数・残数を日次で記録
W5-8ラーメン店の物件探索開始(不動産会社へ条件提示)代表候補物件リスト第19章の条件を満たす候補が3件以上
W6地元建築士の確保(200㎡判定・適合証明)代表業務委託の合意内見同行の費用と所要日数が決まっている
W7-8金澤町家情報館・歴史都市推進課へ相談(Q-03 補助金の併用可否・着工前申請)代表補助金要件メモ申請時期と対象工事が特定できている
W8ゲート①:1段目に進むか判断代表判断記録第23章のゲート①基準を満たすか

17.2 フェーズ1:物件取得と商品確定(W9〜W20)

W9〜W20 タスク
週タスク担当成果物完了条件
W9-14ラーメン店の内見・選定(第19章のチェックリストを持参)代表記入済チェックリスト★条件をすべて満たす物件が1件
W10-14候補地の通行量を実測(平日/土日、昼/夜の4区分)代表通行量メモ第19章の計測方法で各60分
W12ブランド名の決定と商標出願代表出願番号看板・SNSを出す前に出願する
W14-16賃貸借契約・造作譲渡契約(第22章の確認事項)代表契約書用途・営業時間・排気の制約が契約書で確認済み
W15-18レシピ確定とスープ仕込み工程の数値化(第20章)代表+支援先監修仕込み手順書骨kgあたりの歩留まり(L)と1杯原価が実測で確定
W16-20内装の設計・相見積(2社以上)・工事請負契約代表実施図面・請負契約予算310万円以内。帳場スペースが図面に入っている
W17-20町家の探索開始(ラーメン店から10分の実測圏を地図化)代表探索エリア図徒歩・車それぞれの10分圏を実走で確定

17.3 フェーズ2:工事・許認可・採用(W21〜W28)

W21〜W28 タスク(開業まで)
週タスク担当成果物完了条件
W21-26内装工事施工会社完成週1で現場確認。図面との差異を記録
W21食品衛生責任者の資格取得(未取得なら講習会を予約)店長修了証許可申請に間に合う日程で受講
W22飲食店営業許可の事前相談(保健所へ図面を持参)代表指摘事項メモ着工前に構造設備の指摘を潰す
W22消防へ防火対象物使用開始届の事前相談代表必要設備リスト誘導灯・消火器の要否が確定
W23-26店長の採用(金沢)と熊猫商店での研修代表研修完了記録第21章の1日オペを1人で回せる
W24-26パート4名の採用(募集開始→面接→採用)店長雇用契約書シフトが開業月から埋まる
W26飲食店営業許可 申請・検査代表営業許可証検査日から逆算して工事完了日を決める
W26-27自社プロダクトの導入(セルフオーダー+POS〔開発中〕・Hata-Raku・Shif-Match・GuestNote)代表稼働設定実店舗で会計が通る。POSは開発中のため、W20時点で開業に間に合う版を確定させる
W27仕入先の最終確定と初回発注(和牛骨・麺・タレ・什器)店長発注書開業初週の在庫が揃う
W27プレオープン(関係者・モニター)2〜3日全員改善リスト提供時間とオペの詰まりを潰す
W28開業全員―第23章の日次KPI記録を初日から開始
工程で最も詰まりやすい3か所
  • W26 の営業許可検査/検査は工事完了が前提。工事が1週ずれると開業が1週ずれる。検査日を先に押さえ、そこから逆算して工事工程を組む。
  • W23-26 の店長採用/採用が遅れると研修が圧縮され、開業直後のオペが崩れる。W20までに母集団が作れていなければ、開業を1ヶ月後ろへ倒す判断をする(ゲート②)。
  • W15-18 のスープ工程の数値化/ここが曖昧なまま開業すると、原価率を管理できない。骨kgあたりの歩留まりが出ていなければ先に進まない。
18 PERMITS & DOCUMENTS

窓口に持っていくものを、
先に一覧にする。

許認可は「取れるかどうか」より「いつ取れるか」が工程を左右する。下表は必要な手続きと、窓口に持参する書類の一覧である。手数料と標準処理期間は自治体ごとに異なり、当社は金沢市の確定値を持っていない。推測で埋めず要確認のまま残し、W1〜W2の事前相談で確定させる。

18.1 ラーメン店に必要な手続き

飲食店側の許認可・届出
手続き窓口主な提出書類時期手数料/期間
飲食店営業許可金沢市保健所
衛生指導課
営業許可申請書/施設の構造設備の概要/施設の図面(平面図・設備配置)/食品衛生責任者の資格を示す書類/法人の登記事項証明書/水道以外の水を使う場合は水質検査成績書 工事完了後に検査。着工前の事前相談が実質必須【要確認】
食品衛生責任者食品衛生協会等の講習会 ―(調理師・栄養士等の有資格者は講習不要) W21までに取得【要確認】
防火対象物使用開始届金沢市消防局
(所轄消防署)
使用開始届出書/平面図/消防用設備等の配置図 使用開始の7日前まで(一般的な定め。要確認)【要確認】
防火管理者の選任同上 防火管理者選任届出書/講習修了証 収容人員30人以上で必要。11席の当店が該当するかは要確認【要確認】
深夜酒類提供飲食店営業開始届出所轄警察署 営業開始届出書/営業所の図面/賃貸借契約書の写し 等 深夜0時以降も酒類を提供する場合。閉店24:00なら不要の見込みだが要確認【要確認】
法人設立・開業関係税務署・年金事務所・労基署 ―(既存法人のため事業所の追加手続き) 従業員雇用時―

18.2 町家の宿に必要な手続き

簡易宿所側の許認可・届出
手続き窓口主な提出書類時期手数料/期間
旅館業(簡易宿所)
営業許可
金沢市保健所
衛生指導課
営業許可申請書/施設の構造設備を明らかにする図面/周辺の見取図/法人の登記事項証明書・定款/土地建物の登記事項証明書/施設外玄関帳場に関する書類(ラーメン店の位置・所要時間・運営体制)/建築基準関係規定に適合する旨の建築士の証明書/消防法令適合通知書 改修完了後。ラーメン店が営業していることが前提【要確認】
消防法令適合通知書所轄消防署 交付申請書/平面図/消防用設備等の状況 旅館業申請の前【要確認】
建築基準法 用途変更建築士→特定行政庁 200㎡以下のため確認申請は不要。ただし適合証明書は必要(第04章) 設計時建築士費用
宿泊税 特別徴収義務者金沢市 市民税課 特別徴収義務者としての申告書 営業開始前―
補助金の交付申請金沢市 歴史都市推進課/
金澤町家情報館
交付申請書/設計図/見積書/現況写真 着工前(事後申請は不可の制度が多い)【要確認】
要確認 W1の照会で、この5点を必ず聞いて数字にする
  • 飲食店営業許可・旅館業許可それぞれの手数料と標準処理期間(検査から許可証交付までの日数)
  • 施設外玄関帳場として飲食店を登録する場合の追加提出書類(帳場の図面・運営体制の記載様式があるか)
  • 宿泊者名簿の保管場所・保管方法の要件(施錠の要否、電子保存の可否)
  • 収容人員30人未満の飲食店で防火管理者が必要か
  • 補助金の交付決定前に着工した場合の扱い(原則不可か、例外があるか)
回答は議事メモに残し、本章の表の「【要確認】」を実数で置き換える。この表が全部埋まった時点で、工程表の日付が確定する。
19 SITE CHECKLIST

内見に、これを印刷して持っていく。

物件は感覚で決めない。同じ紙で全件を測れば、後から横に並べて比較できる。★は1つでも欠けたら見送る絶対条件。数値欄は現地で埋める。

19.1 持ち物

メジャー(5m以上)/スマホ(写真・録画・方位)/この用紙/ガス・電気の容量が分かる書類の開示依頼書/建築士の連絡先(町家の内見時は同行)。写真は「入口から店内」「厨房」「分電盤」「ガスメーター」「排気ダクトの出口」「前面道路(昼・夜)」を必ず撮る。

19.2 ラーメン店の内見チェックリスト

物件名_______ 所在地_______ 内見日__/__ 賃料___万円/坪数__坪
区分確認項目基準記入欄
★立地町家から徒歩/車で10分以内に候補エリアがあるか必須(第04章)□可 □不可
前面道路の通行量(19.3の方法で計測)昼・夜とも人通りが途切れないこと昼__人/h 夜__人/h
視認性(看板を出せる位置・角度)道路から店名が読めること□良 □可 □不可
★規模カウンター席が10〜12席取れるか(実測)必須__席
坪数(実測。図面と合っているか)10〜15坪__坪
入口付近に帳場スペースを確保できるか必須(Q-01/Q-04)□可 □不可
設備ガス容量(寸胴を2口+麺茹で+コンロで連続使用できるか)最重要。容量不足は増設に高額__号/__kW
電気容量(分電盤の主幹アンペア)冷蔵・冷凍・製氷・食洗機・IHの同時稼働__A
給排水・給湯(能力と位置)厨房位置を動かさずに済むか□可 □要工事
排気ダクトの経路と出口近隣への臭気・騒音の苦情リスク□良 □要確認
グリストラップの有無・容量無い場合は新設費が発生□有 □無
契約用途制限(飲食可か。ラーメン=臭気の扱い)契約書で確認□可 □不可
営業時間の制約(深夜営業の可否)帳場の受付時間に直結__時まで
造作譲渡の範囲と金額(何が残り何が撤去か)厨房機器の現状と年式__万円
原状回復の範囲(退去時のスケルトン義務)撤退コストに直結□軽 □重
周辺競合ラーメン店の数と価格帯(徒歩5分圏)―__店/__円

19.3 通行量の計測方法(全候補で同じやり方をする)

計測ルール ― 比較できる数字にするための約束
区分曜日時間帯計測
平日ランチ火〜木のいずれか12:00〜13:00店前を通過する歩行者のみを60分カウント。車は別記。カウンターアプリを使い、10分ごとに小計を記録する
平日ディナー同上19:00〜20:00
土日ランチ土または日12:00〜13:00
金土の夜金または土21:00〜22:00
通行量から必要客数を逆算する
3年目の目標は95人/日。昼夜あわせて4時間がピークだとすると、ピーク時に通行者の3〜5%が入店する必要がある。平日昼の通行量が60分で200人なら入店は6〜10人/時。この逆算が成り立たない立地は、内装や味では埋められない。

19.4 町家の内見チェックリスト(建築士同行)

物件名_______ 所在地_______ 内見日__/__ 価格___万円
区分確認項目基準記入欄
★法規用途変更の対象床面積(共用部を含む)200㎡以下(第04章)__㎡
建築士の所見:適合証明を発行できるか必須□可 □要調査 □不可
検査済証の有無無い場合の調査負担を確認□有 □無
★立地ラーメン店からの実測所要時間(徒歩・車)おおむね10分以内徒歩__分/車__分
建物建築年(昭和25年以前=金澤町家該当か)補助金の対象要件__年
構造の状態(基礎・土台・柱の傾き・雨漏り跡)耐震補強の規模を左右□良 □要補強
設備水回りの位置と更新の要否(浴室・トイレ・厨房)改修費の最大要因□軽 □全更新
消防設備の設置が現実的か(誘導灯・自火報)旅館業許可の前提□可 □要確認
商品力坪庭・格子・梁など写真になる要素があるかADR 45,000円の根拠□有 □無
定員4〜6名を取れる間取りか一棟貸しの採算__名
近隣両隣との距離・生活音・ゴミ集積所の位置苦情リスク(条例の趣旨)□良 □要配慮
20 PRODUCT & COST

原価率35%は、
1杯ごとに積み上げて決める。

第12章の原価率35%は、天から降ってきた比率ではない。商品ごとの売価と原価を置き、併売率を掛けて積み上げた結果である。この表が変われば第12章の数字も変わる。開業前の試験販売(W4-6)で実測に置き換える。

20.1 メニューと原価

商品別の売価・原価試算(試験販売で実測に置換)
商品売価
(税込)
原価原価率構成比/
併売率
ねらい
■ 主力(1人1杯)
和牛骨白湯らーめん(醤油)98035336.0%50%看板。地元客が毎日通える価格の上限
和牛骨白湯らーめん(塩)98034335.0%20%スープの質が最も出る。インバウンド向け
特製和牛骨白湯らーめん1,38052438.0%30%客単価を引き上げる主役。原価率は高いが粗利額が大きい
主力 加重平均1,10040236.5%100%―
■ サイド(併売率=注文する客の割合)
和牛炙りトッピング38017145.0%20%和牛を「見える形」で出す一品。宿泊プランにも組む
味玉1303930.0%25%粗利率が高い
ライス1503020.0%30%最も粗利率が高い。スープを残させない
餃子(6個)38011430.0%25%熊猫商店の自家製黒豚餃子を横展開
生ビール55019335.0%10%夜と宿泊客
ソフトドリンク2505020.0%10%―
サイド 加重合計32910632.2%――
客単価(税込)1,42950835.5%―税抜 1,299円 = 第12章の3年目前提 1,300円
この表の使い方
客単価と原価率はサイドの併売率でしか動かせない。値上げは客数を削り、原価の圧縮は味を削る。ライス30%・味玉25%・餃子25%という併売率を保つことが、原価率35%と客単価1,300円を両立させる条件である。POSで併売率を日次で見る(第23章)。

20.2 スープの仕込み設計

仕込み1回あたりの設計値試算(W15-18で実測して確定)
項目設計値備考
寸胴60L × 2本1本を炊き、1本を提供に使う2本運用
和牛骨(1回)25kgゲンコツ・背骨。部位の構成は Q-06 で確定
下処理血抜き 2時間+下茹で臭みの管理。ここを省くと商品が壊れる
炊き出し12時間強火で炊き続けて乳化させ、白湯に仕上げる。ガス容量の要件になる(第19章)
歩留まり(完成スープ)約45Lこの数字が原価を決める。実測必須
1杯あたり使用量300cc―
1回の仕込みで取れる杯数約150杯日商95杯なら毎日1本仕込み・2日サイクル
1杯あたりの骨使用量約167g25kg ÷ 150杯
骨の仕入単価と1杯あたりスープ原価の逆算要確認 Q-06
骨の仕入単価1回(25kg)1杯あたり1杯総原価への影響(醤油・目標353円)
200円/kg5,000円33円余裕。トッピングを厚くできる
300円/kg7,500円50円想定内
400円/kg10,000円67円本計画の前提(原価353円のうちスープ67円)
600円/kg15,000円100円原価率が約38%へ。売価改定か構成比の見直しが必要
和牛骨白湯らーめん(醤油)1杯の原価内訳試算
要素原価調達
スープ(和牛骨 167g)67自社ルート(Q-06)。FCではここを卸す
麺90製麺所から仕入(製麺機は導入しない)
チャーシュー(和牛)110同ルート。和牛を「食べて分かる形」で載せる
かえし・香味油35自家製。味噌ダレの知見(第09章)をここに使う
具材(ねぎ・メンマ・海苔)50地元仕入
消耗品(紙・割箸等)1―
合計353売価980円に対し 36.0%
試験販売(W4-6)で必ず実測する3つ
  • 歩留まり/骨25kgから何Lのスープが取れたか。設計の45Lを下回ると原価が跳ねる
  • 提供時間/着席から着丼まで何秒か。目標は5分以内。11席の回転はここで決まる
  • 併売率/ライス・味玉・餃子が実際に何%出るか。20.1の前提が崩れれば客単価が崩れる
21 OPERATIONS

1日の流れと、
帳場で読み上げる手順。

ラーメン店の営業と、宿のチェックイン受付を同じ店の同じ人間が回す。これが成立するかどうかは、時間帯の設計にかかっている。結論から書くと、チェックインは中休み(15:00〜17:00)に寄せる。営業のピークから離れており、店長が仕込みで在店している時間帯にあたるためである。

21.1 営業時間と1日のタイムテーブル

1日の流れ(標準日)設計値
時刻業務担当備考
08:00出勤。和牛骨の下処理(血抜き・下茹で)店長第20章の仕込み設計に従う
09:00前日仕込みスープの火入れ・濾し/かえし・チャーシューの仕込み店長―
10:30出勤。仕込み仕上げ・清掃・釣銭準備パートA―
10:45朝礼(5分):本日の目標杯数/在庫/当日のチェックイン予定を共有全員自社システムの当日リストを毎朝印刷する
11:00昼営業(L.O. 14:30)店長+パートAピークは12:00〜13:30
15:00中休み = チェックイン推奨時間帯(〜17:00)店長新しい寸胴の炊き出し開始・発注・売上入力をしながら帳場対応
16:30出勤・引き継ぎ夜責任者―
17:00夜営業(L.O. 23:00)夜責任者+パートBピークは19:00〜21:00
23:30閉店・清掃・レジ締め夜責任者―
〜00:15日次KPIの入力(第23章)と翌日の仕込み準備夜責任者これを飛ばすと数値管理が止まる

21.2 人員配置とシフト

時間帯別の配置設計値
役割時間1日月間主担当
店長(社員)08:00〜17:009.0h―仕込み・昼営業・帳場・数値管理
夜責任者(パートリーダー)16:30〜24:007.5h195h夜営業・締め・遅い時間の帳場
パートA(昼)10:30〜15:004.5h117hホール・洗い場
パートB(夜)17:30〜23:306.0h156hホール・洗い場
パートC(金土のみ)17:30〜23:306.0h48hピーク増員
パート月間合計516h時給1,100円で約56.8万円=売上の18%(第12章の前提と一致)
店長を通しで立たせない
08:00〜24:00を1人で回すことはできない。夜は夜責任者に権限ごと渡す設計にし、店長の実働を9時間・週休2日に収める。打刻と労働時間は Hata-Raku で管理し、店長の残業が月20時間を超えたら人員配置を見直す(第23章の月次で確認)。

21.3 玄関帳場の手順書 ― チェックインの9ステップ

これは条例が求める「面接による本人確認及び人数確認」を、店の営業を止めずに実行するための手順である。そのまま印刷してカウンターに置く。所要時間の目標は1組8分以内。

チェックイン手順(玄関帳場)
#やること言うこと/注意
1朝礼で当日のチェックイン予定を確認氏名・人数・到着予定時刻。予定表をカウンター内に貼る
2来店時に声をかける「ご宿泊のお手続きですね。こちらへどうぞ」/多言語の案内カードを提示する
3タブレットで予約を照合氏名・泊数・人数を画面で確認
4身分証/旅券の提示を受けてスキャン国内に住所を有しない外国人宿泊者は旅券の写しの保存が必要(旅館業法)
5全員の顔と人数を目視で確認するこれが条例の「面接」。代表者1名だけで済ませない。同行者が車内にいる場合は降りてもらう
6宿泊者名簿に記入・電子署名氏名・住所・職業・前後の行程等。名簿の保管方法は Q-01 の回答に従う
7PINを発行し、道順とあわせて渡す自社システムがスマートロックへPINを自動発行。紙でも渡す(通信不良の保険)
8注意事項を説明するゴミの出し方・夜間の騒音・近隣への配慮・チェックアウト時刻。条例が定められた理由そのものなので省略しない
9食事を案内する「いまお食事もできます。和牛の骨で炊いた白湯スープです」/ここが転換率50%(第09章)の実体
例外パターンの取り決め(先に決めておく)
  • ピーク時(12:00〜13:30/19:00〜21:00)に到着した場合/手続きは受けるが、事前案内で15:00〜17:00の来店を推奨しておく。予約確定メールとチェックイン前日のメッセージの両方に書く
  • 閉店後(23:30以降)に到着する場合/遠隔面接が認められるか(Q-02)で運用が変わる。認められない場合は、当日の最終チェックインを23:00で締め切り、それ以降の予約を受けない設定を予約側に入れる
  • 定休日/宿の予約在庫を閉じるのではなく、定休日を宿のチェックイン不可日として設定する(連泊の中日は影響しない)
  • 荷物/チェックイン前に荷物だけ預けたい客のために、カウンター奥に置き場を確保する(第19章の帳場スペース要件)
22 PEOPLE & CONTRACTS

人と紙を、開業前に揃える。

飲食の出店で開業が遅れる原因は、工事より人と書類である。誰をいつ採り、何の紙をいつ交わすかを先に決める。

22.1 採用計画

開業時の体制計画
役割人数採用時期条件の目安備考
店長(社員)1W23までに確定月額40万円(社保込・第12章)金沢で採用し、開業前に熊猫商店で4週間の研修(22.2)。採用の遅れが工程を左右する
夜責任者1W24-26時給1,300円前後締めと発注を任せる。将来のFC1号店の店長候補
パート(ホール・洗い場)3W24-26時給1,100円前後昼1・夜1+金土の増員1
採用は金沢で行う。武器は「住居を出せること」
名古屋から人を送り込む前提は置かない。愛知から石川への人流を作ることは現実的ではなく、店長・夜責任者・パートはいずれも金沢で採用する。そのうえで当社には、地方の飲食店採用では珍しい条件がひとつある。
  • 家業(焼肉むつごろう)の2階を、従業員の居住スペースとして確保できる。U・Iターンで金沢に入る人にとって、住居の有無は応募の判断を直接左右する。県外からの応募を取りにいける。
  • 研修は開業前の4週間だけ名古屋で行う(22.2)。移住ではなく一時的な研修なので、応募のハードルにならない。
  • 募集の打ち出しは「金沢の新店・住居あり・立ち上げから関われる」。この3点を求人媒体の見出しに置く。
要確認 2階の現況(面積・設備・改装の要否と費用)、社宅として貸与する場合の賃料の扱いと税務、就業規則上の位置づけ。募集を出す前に整理する。
要確認 時給は金沢の実勢に合わせる
上表の時給は当社が置いた目安であり、金沢市の飲食店の実勢・石川県の最低賃金は未確認。募集を出す前に求人媒体で相場を調べ、第12章の人件費率18%に収まるかを再計算する。相場が高ければ、率ではなくシフト時間を削って合わせる(サービスを削らないため、まず金土の増員から見直す)。

22.2 店長の研修カリキュラム(熊猫商店・4週間)

開業前の4週間、名古屋で身につけること(研修のみ。移住ではない)
週内容到達条件
1週目仕込み(骨の下処理・炊き出し・濾し・かえし・チャーシュー)1人でスープを1本仕上げられる。歩留まりを記録できる
2週目提供(麺上げ・盛り付け・ホール・レジ)ピーク帯で提供5分以内を維持できる
3週目数値管理(棚卸し・原価率・発注・シフト)日次KPIを自力で入力し、原価率を説明できる
4週目玄関帳場のオペレーション(21.3の9ステップ・IT操作)ロールプレイで1組8分以内。例外パターンに答えられる

22.3 契約・書類の一覧

交わす紙と、確認すべき条項
書類相手時期特に確認する点
■ ラーメン店
賃貸借契約書貸主W14-16用途(飲食・臭気)/営業時間の制約/原状回復の範囲/看板の設置可否
造作譲渡契約書前テナントW14-16譲渡対象の明細と年式/不具合時の責任/撤去義務の所在
工事請負契約書施工会社W20工期と遅延時の扱い/保健所・消防の検査に間に合う完了日/追加工事の単価
雇用契約書・労働条件通知書店長・パートW24-26所定労働時間/深夜割増/試用期間
仕入契約(和牛骨)精肉ルートW8までに骨子年間数量・価格改定の条件・FC加盟店への卸売の可否(Q-06)
火災保険・施設賠償責任保険保険会社開業前食中毒・借家人賠償・休業補償の有無
商標出願特許庁W12区分(飲食物の提供=第43類、食品=第29/30類)。看板を出す前に出願
■ 宿・その他
売買契約書(町家)売主M8停止条件:旅館業許可の取得/建築士の適合証明の発行(第14章 R-04)
清掃業務委託契約地元清掃会社M12繁忙期の対応可否/連絡手段/品質基準
玄関帳場の運営に関する社内規程―M12グループ内振替(1泊1,500円)の根拠と、帳場業務の責任範囲
FC契約書・情報開示書面加盟希望者Y2中小小売商業振興法の該当性を含め専門家のレビュー必須(Q-07)
23 GATES & RHYTHM

進む条件と、やめる条件を
先に決めておく。

計画が壊れるのは、判断基準を決める前に走り出したときである。各段階で「何が満たされたら次に進むか」を数値で固定し、満たさなければ止まる。止まる判断を先に文章にしておくことが、実行計画で最も効く。

23.1 意思決定ゲート

4つのゲートと通過条件基準値は当社設定
ゲート時期通過条件(すべて満たすこと)満たさない場合
① 1段目に
進むか
W8 ・Q-01:飲食店を施設外玄関帳場として登録できる(または代替案が成立する)
・Q-06:和牛骨を月750kg以上安定して確保できる(1日25kg×30日=1号店の必要量)
・試験販売で提供5分以内かつ実原価率38%以下
・借入の見通しが立っている
物件契約に進まない。Q-01がNOなら宿を切り離しラーメン店単体で再計算する
② 開業日を
確定してよいか
W20 ・店長候補の母集団がある(金沢での募集。住居ありを条件に出せている)
・内装見積が310万円以内
・保健所・消防の事前相談で重大な指摘がない
・スープの歩留まりが実測で確定している
開業を1ヶ月後ろへ倒す。採用が整わないまま開業しない
③ 2段目
(町家3,200万)に
進むか
開業6ヶ月 ・手元現金が計画の70%以上(計画180万に対し126万以上)
・日商が計画の85%以上(6ヶ月目 計画100万/日商10.0万 → 8.5万以上)
・原価率38%以下
・主要OTA/Googleのレビューが4.3以上
町家の取得を3ヶ月延期して再判定。2回連続で満たさなければ宿は見送る
④ FC展開に
進むか
開業12ヶ月 ・単月営業利益が3ヶ月連続で黒字
・オペレーションマニュアルが文書化されている
・Q-06の供給量が加盟店分を含めて賄える(6店なら月5,250kg)
・FC契約書・情報開示書面の法務レビューが完了
加盟募集を開始しない。供給が足りないまま加盟させるのが最悪の失敗(第11章)
撤退の基準も、いま決めておく
開業9ヶ月時点で、手元現金が50万円を下回り、かつ単月赤字が3ヶ月続いている場合は、追加の運転資金を入れずに撤退の検討に入る。具体的には①メニューと価格の抜本見直し ②営業時間の短縮による人件費圧縮 ③造作譲渡による売却 の順で検討する。「もう少し様子を見る」を繰り返すと、売れるはずの造作まで失う。判断が鈍ったときに、この項目を読み返すこと。

23.2 開業後の運営リズム

誰が・いつ・何を見るか
頻度いつ参加見る数字決めること
日次閉店後10分夜責任者日商/客数/客単価/併売率/提供時間/廃棄翌日の仕込み量と発注。入力を飛ばさない
週次月曜 午前30分店長+代表前週の推移/シフト/クレーム/在庫今週の1つの改善テーマ
月次第1営業日 60分店長+代表P/L/原価率・FL比率/ゲート指標/店長の残業時間翌月の重点。ゲート③④の進捗確認
四半期―代表メニュー構成・価格・仕入価格の推移価格改定の要否/和牛骨の契約更新
数字は Hata-Raku・GuestNote・POS から自動で集める
日次の入力を人の手に頼ると、忙しい日ほど飛ぶ。売上・客数・客単価・併売率はPOSから、勤怠はHata-Rakuから、レビューはGuestNoteから自動で集計し、人が入力するのは「廃棄量」と「気づいたこと」だけにする。第10章のIT構成は、この運営リズムを回すためにある。
実行編のここまでで、まだ埋まっていないもの
この章までで実行の骨格は固まったが、次の項目は当社が値を持っておらず、空欄のままである。第17章のW1〜W8で埋める。
  • 許認可の手数料と標準処理期間(第18章の【要確認】)
  • 和牛骨の仕入単価と月間確保可能量(Q-06。第20章の原価表とゲート①の両方が依存)
  • 金沢の時給相場と物件の実勢賃料
  • スープの実歩留まり(試験販売で実測)
この4つが埋まった時点で、本資料は「計画書」から「着工できる図面」になる。

規制対応を収益事業に変え、
仕入で守る。

本事業は、金沢市の厳格な条例(玄関帳場の設置・対面での本人確認)を、自社ラーメン店という収益事業に置き換えることで満たす。商品の差別化は模倣困難な和牛骨の仕入に置き、成長は物件に縛られないFCパッケージで確保する。初期投資4,400万円(補助金見込後4,000万円)・うち借入2,900万円に対し、3年目の連結営業利益は1,679万円、年間返済額293万円に対する返済余裕率は5.7倍を見込む(FCの収益は含めていない)。投資は2段階に分け、1段目(ラーメン店1,200万円)の実績を確認してから2段目(町家3,200万円)へ進む。進む条件と撤退の条件は、いずれも第23章に数値で定めた。